要約
高温の水蒸気中に微細水滴が混在した加熱媒体を造粒バインダーとして使用することにより、水に溶解しやすいホエイ顆粒を効率的に製造できる。ホエイの利用性を高めることで、乳業における副産物であるホエイの有効利用の促進が期待できる。
- キーワード : 粉体加工、造粒、顆粒、ホエイ、水蒸気
- 担当 : 食品研究部門・食品加工・素材研究領域・食品加工グループ
- 代表連絡先 :
- 分類 : 研究成果情報
背景・ねらい
ホエイは乳業から排出される副産物であり、その有効利用が望まれる。食品粉末の造粒操作は流動性、濡れ性、水分散性などを向上させるため、ホエイ粉末に適用した場合には食品素材としての利用性を高める効果が期待できる。一方で、流動層造粒には乾燥工程が含まれ、多くの時間とエネルギーを消費するため、その削減には造粒操作の効率化が不可欠である。
既往の研究において、高温の水蒸気に微細水滴が混在した水蒸気-水二相の加熱媒体を造粒バインダー(SWTPバインダー)として用いることで、トウモロコシ澱粉等を効率的に顆粒化できることが示されている。しかしながら、ホエイ粉末への適用性は未検討であり、汎用性の検証が必要である。本研究では、SWTPバインダーによるホエイ粉末の顆粒化を検討し、ホエイ粉末の高品質化とSWTPバインダーの適用性の拡大を図ることを目的とする。
成果の内容・特徴
- 試験装置の概略は図1の通りである。SWTPバインダーは専用発生装置(アクアガスジェネレータIR6000-200V、株式会社タイヨー製作所)を用いて発生させる。イオン交換水を上記のアクアガスジェネレータに圧送し、供給された水は加熱されて一部が蒸発し、飽和状態で流動層造粒機に導入される。導入されたSWTPバインダーはノズルを通して上方から鉛直下方に向かって噴射される。
- ホエイ粉末の急激な凝集を防ぐため、ホエイ粉末の造粒は30秒間のバインダー供給工程と30秒間の乾燥工程を繰り返すことで行う。乾燥工程は80°Cのヒーターで加熱された空気により行う。アクアガスジェネレータと流動層造粒機の間を連結する管路の途中に分岐を設け、電磁弁の開閉により流動層造粒機内へのバインダーの供給サイクルを制御する構造となっている。
- 常温のイオン交換水をバインダーとして使用する場合と比較して、SWTPバインダーではホエイ顆粒の成長速度が速く(図2)、効率的に造粒処理を行うことが可能であり、水に溶解しやすいホエイ顆粒(図3)をより短い時間で作製することが可能である。
成果の活用面・留意点
- 水に溶解させやすいホエイ粉末を効率的に製造することが可能であり、特に飲料等への用途に適している。
- ホエイ粉末の流動層造粒にSWTPバインダーを適用する場合、連続的にバインダーを供給すると粉末が急激に凝集して流動が停止する。適度な間隔で粉末を乾燥処理することが必要である。
- 造粒処理によるホエイ粉末の品質変化については未検討であり、風味や内部成分への影響を精査する必要がある。
具体的データ

その他
- 予算区分 : 交付金、文部科学省(科研費)
- 研究期間 : 2024~2024年度
- 研究担当者 : 根井大介、鎌田樹、五月女格(東京大)
- 発表論文等 : Nei D. et al. (2025) Food Sci. Technol. Res. doi: 10.3136/fstr.FSTR-D-24-00123