プラントベース食品のおいしさ向上を目的としたとんこつ(風)スープの官能評価法

要約

市販の動物性・植物性のとんこつ(風)スープについて、33の評価項目により試料の香り、味・フレーバー、テクスチャーの特徴を数値化・可視化する官能評価法である。また、試料の「動物性食品らしさ」の強さの予測にも活用することができる。

  • キーワード : プラントベース、官能評価、おいしさ、とんこつ、スープ
  • 担当 : 食品研究部門・食品流通・安全研究領域・分析評価グループ
  • 代表連絡先 :
  • 分類 : 研究成果情報

背景・ねらい

近年、持続可能な食品システムへの関心の高まりや、宗教上、思想上、健康上の理由による食事選択の多様化などを背景として、プラントベース食品(植物由来の原料のみを用いた食品)の需要は世界的に拡大している。しかし、代替食品としてのプラントベース食品は、動物性食品(動物由来の原料を用いた食品)と比べておいしくないととらえられる場合もあり、普及の障壁となっている。
そこで本研究では、動物性の原料を用いる典型的な食品で、昨今世界的に需要が高まっているとんこつスープを試料とし、動物性のとんこつスープと植物性のとんこつ"風"スープ(動物性のとんこつスープを模した植物性食品)の両者に適用可能な官能評価法を開発する。これにより、同一の基準で両者の特徴の違いを評価することが可能となる。また、試料の「動物性食品らしさ」に着目し、一般消費者による「動物性食品らしさ」の評価データと統合することで、「動物性食品らしさ」の強弱に影響する要因が特定でき、より動物性に近い植物性のとんこつ風スープの創出が可能になる。

成果の内容・特徴

  • 本官能評価法における33の評価項目(表1)は、33種の動物性・植物性とんこつ(風)スープについて、分析型パネルによる自由記述式官能評価により収集した289語の言葉を整理・集計・解析し、パネル内での討議により定義を決定したものである。評価項目は、鼻で嗅いだ時に感じる香り11項目、口に入れた時に感じる味・フレーバー19項目、口に入れた時に感じるテクスチャー3項目で構成されている。
  • 表1の評価項目について、訓練された分析型パネルが強度評価を行うことで、動物性・植物性とんこつ(風)スープの特徴を数値化することができる。また、各試料、各項目における評点の平均値のデータに主成分分析を適用することにより、各試料の特徴が可視化される(図1)。
  • 一般消費者に試料の「動物性食品らしさ」を評価させ、各試料の「動物性食品らしさ」の平均値を目的変数、3.の主成分分析における各試料の主成分得点を説明変数として、応答曲面モデルを作成する。これにより、図1のプロット上に試料の「動物性食品らしさ」の強弱を表す等高線図を描画することができ、どのような特徴をもつ試料で「動物性食品らしさ」がより強く感じられるかを予測することが可能になる。

成果の活用面・留意点

  • 本成果で開発された官能評価法により、動物性・植物性とんこつ(風)スープの特徴の違いを明らかにすることができ、植物性のとんこつ風スープをより動物性のとんこつスープに近づけるためにアプローチすべき官能特性を顕在化することができる。また、新製品や改良品の評価データから、従来品との比較や「動物性食品らしさ」の強弱の予測が可能である。
  • 本評価法を適用する際には、評価者となる分析型パネル内で評価項目の定義や尺度の共有化を行う必要がある。また、専門店などで提供されているとんこつ(風)スープ等の評価を行う場合は、評価項目の追加や定義の変更について検討する必要がある。

具体的データ

その他

  • 予算区分 : 交付金、民間資金等(資金提供型共同研究)
  • 研究期間 : 2021~2024年度
  • 研究担当者 : 中野優子、望月寛子、早川文代、稲垣瑠奈(お茶の水女子大学大学院)、平野啓太(不二製油株式会社)、平垣内一子(不二製油株式会社)、富研一(不二製油株式会社)、佐藤亮太郎(不二製油株式会社)、齋藤努(不二製油株式会社)
  • 発表論文等 : 稲垣ら(2025)食科工誌、72:67-78