米飯の品質評価および情報共有に参照できる官能評価用語体系

要約

米飯の外観、香り、味・風味、テクスチャー(食感)を表す言葉を120語に整理し、定義や類義語などの情報をつけた用語体系である。官能評価に利用することで、米飯のおいしさの特徴の違いを詳細に評価できる。また、多様な米や米飯のおいしさに関する特徴の伝達を円滑にする。

  • キーワード : 米、米飯、官能評価、おいしさ、品質管理
  • 担当 : 食品研究部門・食品流通・安全研究領域・分析評価グループ
  • 代表連絡先 :
  • 分類 : 普及成果情報

背景・ねらい

近年、さまざまな品種の米の登場や米の利用形態の多様化により、米飯のおいしさについて具体的な特徴を分かりやすく示すことが求められている。米飯の官能評価では、1960年代に設定された「外観」「味」「硬さ」「粘り」などの数項目が現在もよく使われる。しかし、これらは複合的・総合的な判断が必要となるために評価が難しい、また、評価項目が細分化されておらず多様な米の特徴を評価しきれない、といった問題が指摘されている。さらに、流通の現場では、米の特徴を伝える言葉の意味が曖昧なままになっており、言葉が品質の伝達に十分に機能していないとの課題がある。
そこで、本研究では、米飯のおいしさに関わる品質表現を広く収集して整理し、それぞれの言葉に定義や類義語情報を付した「米飯の官能評価用語体系」を構築する。この用語体系を辞書のように参照することで、米飯の詳細な官能評価の効率的な実施が可能になる。また、米や米飯のおいしさに関する情報の伝達を円滑にする。

成果の内容・特徴

  • 本用語体系は、外観31語、香り23語、味・風味31語、テクスチャー35語の合計120語で構成される。これは、熟練した官能評価パネルが種々の米飯を実食して特徴を言葉にし、また、米に関する約250の先行研究や約30冊の書籍などから収集して得た合計7500の表現を集計し、整理したものである(表1)。
  • 本用語体系が対象としている米飯は「白飯として食べる米」である。用語を収集するための実食では、国内の全流通量(2019年度)の約80%をカバーする品種の米、加えて、アミロース含有率が異なるさまざまな特徴をもつ品種の米などを用いている。米飯としては、チルド流通米飯、常温流通米飯、冷凍流通米飯、保温した米飯、包装米飯などを対象としている。
  • 本用語体系は、官能評価の設計を効率化する。例えば、チェックリストから当てはまるものを選ぶCATA(Check-All-That-Apply)法では、リスト作成に本用語体系を活用すると(図1)、工数を大幅に削減できる。定量的な官能評価の設計においても、評価項目設定および項目の意味についてパネル内での共有時に本用語体系を参照すると(図2)、効率化が図れる。
  • 米飯の品質について自由記述でコメントする際に、本用語体系を参照すると、意図が明確になり、生産・製造現場へのフィードバックが効果的に行える。
  • 官能評価で得られた米・米飯の特徴を、部署間や組織間で共有する際に、用語体系を参照することで、意味が明確になり、情報共有をより円滑に進めることができる。

普及のための参考情報

  • 普及対象 : 米・米飯流通事業者および販売者、精米事業者、米飯加工事業者、米生産者、育種等に従事する研究機関。
  • 普及予定地域・普及予定面積・普及台数等 : 国内全域。
  • その他 : 本用語体系一覧は以下のURLで公開しており、閲覧およびダウンロードが可能である。
    https://www.naro.go.jp/org/nfri/yakudachi/terms/rice.html

具体的データ

表1 米飯の官能評価用語体系(一部),図1 用語体系の官能評価への利用(CATA;Check-All-That-Apply法の例),図2 用語体系の官能評価への利用(定量的な官能評価の例)

その他

  • 予算区分 : 交付金、民間資金等(資金提供型共同研究)
  • 研究期間 : 2021~2025年度
  • 研究担当者 : 早川文代、梅本貴之、中野優子、風見由香利、吉澤浩二(伊藤忠食糧)、諏訪憲久(伊藤忠食糧)、安藤美紀子(伊藤忠食糧)
  • 発表論文等 : 早川ら(2025)食科工誌、72:177-201