牛胎児血清(FBS)は、細胞培養に用いられる生物由来原料の一つであり、家畜衛生における検査に必要不可欠な試薬である。本研究では、FBSに混入する可能性がある微生物の一つである牛ウイルス性下痢ウイルス(BVDV)について、近年の流通製造ロットへの混入状況調査結果を提供する。
牛胎児血清(FBS)は、細胞培養に用いられる生物由来原料の一つであり、家畜衛生における検査や研究に必要不可欠な試薬である。生物由来原料は、時に原料となった生物に由来する微生物を細胞に混入させるリスク源となるため、市場に流通する製品の検査成績は国内の家畜衛生に携わる検査員にとって重要な情報である。
FBSに混入するリスクが高い微生物として、牛ウイルス性下痢ウイルス(BVDV)が知られている。BVDVは、妊娠牛に感染することで胎児への垂直感染を引き起こすため、その胎児に由来するFBSは感染性のウイルスや抗BVDV抗体を含み、臨床現場等で実施される検査において誤診断をもたらす原因となる。
本研究では、2017年から2021年の期間に市場に流通していたFBSにおけるBVDV混入状況を調査し、国内の検査機関に情報共有することでBVDV混入リスクに関する注意喚起と啓蒙を行う。