国際標準化機構(ISO)より発行された抹茶の定義に関する技術報告書

要約

ISO/TR 21380はISOから発行された抹茶の定義に関する技術報告書であり、抹茶の歴史、栽培・加工技術、品質等の特徴をまとめた文書である。日本で発達してきた遮光栽培や碾茶機等を使用した製茶技術が抹茶の製造に重要な技術であることを述べている。

  • キーワード : 抹茶、国際標準化、技術報告書、歴史、栽培、加工法
  • 担当 : 果樹茶業研究部門・茶業研究領域・茶品種育成・生産グループ
  • 代表連絡先 :
  • 分類 : 研究成果情報

背景・ねらい

抹茶は鮮やかな緑色や豊かなうま味と香りを生み出すために遮光栽培した茶葉を原料とし、碾茶(てんちゃ)機等を使用して揉まずに乾燥させて製造する。これらの技術は日本で発達してきたものであるが、その歴史や他の茶の種類との違いなどが国際市場で十分に認知されていないのが現状である。そこで、国際的に抹茶の定義を定めることを目指し、抹茶の国際標準化活動を推進している。その取り組みの第一歩として、ISOで抹茶の定義に関する技術報告書を発行する。

成果の内容・特徴

  • ISO/TR 21380:2022 Matcha tea - Definition and characteristicsは、抹茶の歴史、栽培・加工技術、品質等の特徴をまとめた技術報告書である。
  • 本技術報告書は、抹茶を他の茶種と区別するための製造技術の特徴を述べている。具体的には、葉の緑色を濃くすることとともに、うま味を増やし抹茶特有の香りを生じさせるために遮光栽培を行うことや、鮮やかな緑色を保ったまま、豊かな香りを生成するために碾茶機等を用いて碾茶を製造すること、舌触りやのどごしを良くするために石臼等で碾茶を非常に細かい粉末状にしたものが抹茶であることを述べている(図1)。

成果の活用面・留意点

  • 本技術報告書は、ISOもしくは日本規格協会のウェブサイトより有償で入手できる。
  • 本技術報告書は今後ISOにおいて抹茶の定義に関する国際規格を策定するにあたっての基礎となる文書であり、本文書は強制力のある規格を定めたものではない。

具体的データ

図1 抹茶の製造工程

その他

  • 予算区分 : 交付金
  • 研究期間 : 2015~2022年度
  • 研究担当者 : 谷口郁也、角川修、野村幸子
  • 発表論文等 :
    • ISO/TR 21380:2022 Matcha tea - Definition and characteristics
    • 谷口(2022)農研技報、12:10-13