要約
生産者の高齢化や担い手の減少に対応するため、維持管理コストを大幅に省力化する鳥獣防護柵や防護柵の補修・補強のための新技術群を紹介する成果集である。それぞれの技術の導入コストも含めて紹介することで、鳥獣害対策の現場への速やかな普及が期待できる。
- キーワード : 鳥獣害対策、防護柵、電気柵、通電性向上舗装、果樹
- 担当 : 畜産研究部門・動物行動管理研究領域・動物行動管理グループ
- 代表連絡先 :
- 分類 : 普及成果情報
背景・ねらい
野生鳥獣による農作物被害が深刻化する一方で、生産者や住民の高齢化が進み、鳥獣の侵入を防ぐために設置した防護柵の適切な管理が難しくなっている問題がある。また、農業の担い手の減少が深刻になる中、生産体系全般の機械化・省力化が重要な課題であり、こうしたスマート農業にも対応できる鳥獣害対策技術が求められている。本成果集では、省力的で経済性の高い新たな防護柵や柵の維持管理のための技術を、導入コストを含めて一覧にし、現場への普及を目指す。
成果の内容・特徴
- 本成果集(図1)は、鳥獣害被害を省力的に防ぐための技術を4つの特徴に分けて紹介している(図2)。
- 「1.防護柵の更新や補修の判断に必要な情報の可視化手法」では、行政が防護柵の更新や補修の必要性のある地域をGIS上で把握するための手法について紹介している。
- 「2.安価で省力的な防護柵の補修・管理技術」では、鳥獣に侵入されることの多い防護柵下部の補強、補修を行うための資材や効果的な除草管理の手法を紹介している。
- 「3.侵入防止効率や管理の省力性を高める新たな技術」では、通電性を高めた舗装資材と電気柵とを融合することで、除草管理や頻繁な見回り作業が不要となって柵の維持管理労力を大幅に減らせることや、この融合柵が、農地の基盤整備等の大規模な施工から、自力での小規模な施工まで多様な場面で活用できることを紹介している。
- 「4.果樹の省力型生産体系にも対応できる鳥獣害対策技術」では、圃場の外周に電気柵を設置するスペースがない場合の次善策として果樹や支柱に直接取り付ける電気柵用の碍子を紹介し(図3)、この碍子を用いた電気柵と慣行型(圃場外周に設置する電気柵)のそれぞれで経営収支がプラスになる条件を示している(図4)。
- これらに加え、各技術の現地実証試験の結果や、技術の導入時に役立つ野生鳥獣の運動能力について示したコラムを紹介している。
普及のための参考情報
- 普及対象 : 都府県の普及指導機関、市町村、および先導的な生産者、生産者団体。
- 普及予定地域・普及予定面積・普及台数等 : 全国。
- その他 : 冊子体は都府県の鳥獣行政の担当部署・研究所に合計500部を配付済。また、農研機構および農林水産省ホームページで閲覧できる。
具体的データ

その他