重点普及成果
大豆の安定生産に向けた「ディスク式高速一工程播種」の普及
本技術開発の背景
近年、豪雨等の天候不順によりダイズの単収の年次変動が大きくなっている。特に九州地域においては、2010年以降単収が右下がりに減少しており、2000年代後半には200kg前後であった単収が、2020年代前半には100kg前後まで半減した。また、全国の大豆の作付経営体数は2020年で5万経営体と2015年からの5年間で4割減少し、一方で1経営体当たりのダイズ作付面積は、2020年に2.7haと2015年の約1.6倍となっている。これらのことから、ダイズの安定多収と効率的な作業体系を両立する技術開発が喫緊の課題である。
技術概要
- 松山株式会社製の2.2m幅アップカットロータリ「BUR2210H」に専用アタッチメントである溝付けディスク「BUR10-MD」を取り付け、ムギ後未耕起圃場において一工程で大豆を浅耕播種する技術(専用アタッチメントは2024年10月より全国販売開始)。
- ロータリ前方に固定された大型のサイドディスクが排水溝を形成。降雨により作土層に溜まった余剰水は、不耕起層には浸透せず排水溝から圃場外へ速やかに排出され湿害を軽減。
- 作溝時に削った土をロータリ内へ供給することで、逆転ロータリで浅耕播種をしても均一な播種床を形成。
- 一工程播種によりトラクタの稼働時間が減ることで燃料費を削減。
- 浅耕播種を行うことでトラクタへの負荷が軽減され、作業速度が向上し作業効率が向上。
- 1日あたりの播種可能面積が増え、適期播種に貢献。
技術に関する問い合わせ先
農研機構 九州沖縄農業研究センター 研究推進部 研究推進室 広報チーム
Tel:(096)-242-7530
参考情報
プレスリリース
標準作業手順書(SOP)
- ディスク式高速一工程播種法を 活用したダイズの栽培体系標準作業手順書 (プレスリリースと同時公開)
論文
NARO Channel
- 「ディスク式高速一工程播種 -ダイズの湿害対策と規模拡大を可能にする画期的な播種法-」(プレスリリースと同時公開)