高速耕うんロータリ

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要約

爪形状、爪取付方式、カバー等の変更、並びに固定爪の新設を行った耕うん用ロータリである。所用動力の低減、反転・埋没性能や均平性能等の向上により、現行機と同程度の作業精度を維持しつつ、20~30%高速で作業できる。

  • 担当:生研機構・生産システム研究部・土壌管理システム研究
  • 連絡先:048-663-3901
  • 部会名:作業技術
  • 専門:機械
  • 対象:農業機械
  • 分類:普及

背景・ねらい

水稲作の主要ほ場内作業のうち、田植え、収穫作業については、1m/s以上の高速で作業ができるようになった。しかし、ロータリによる耕うん作業は、トラクタの大きさや土壌条件によって異なるものの、0.4~0.7m/s程度の作業速度が現在でも一般的であるため、大規模作業を行う場合を中心に高速化への要望が強い。そこで、0.7m/s以上の作業速度で耕うんが可能なロータリを開発した。

成果の内容・特徴

  • (1)わん曲部曲率半径を現行機の約2倍に大きくしたホルダ取付け式ロータリ爪、(2)横方向取付け間隔を約1割 増大したロータリ爪の配列、(3)カバー内後方のスペースを広くするとともに、リヤカバーを揺動可能としたカバー、(4)2本の固定爪(上方へ持上げ可能)などの採用を行った耕うんロータリである(図1、表1)。適応トラクタは37kW(50PS)級以上である。
  • 開発機の特徴は以下のとおりである。
    (1) 現行機に比べ、上記1の(2)~(3)による効果でPTO軸所要動力が低い(表2)ため、20~30%程度高速で作業ができる(図2)。そのため、現行機に比べ、作業能率が20~30%程度向上し、面積当たりの燃料消費量が15~20%程度減少する。
    (2) 固定爪の採用等により、現行機に比べ、ロータリがトラクタを前方に押す力(推進力)が小さいため、この力によって発生するトラクタの揺れが少ない(表2)。
    (3) 現行機に比べ、高速作業時の稲株埋没性能や均平性能が高い(表2)。そのため、現行機より20~30%高速で作業しても、同程度の作業精度が得られる。

成果の活用面・留意点

平成8年度に高性能農業機械実用化促進事業に移行して市販されており、能率的なロータリ耕が要望される場面に利用できる。本ロータリの利用により、(1)負担面積の拡大や燃料消費量の低減による低コスト化、(2)適期作業の実現、(3)揺れが少ない快適な作業などが期待できる。
37kW(50PS)級以上のトラクタを利用すること、硬い土壌では固定爪を使用し、湿潤な土壌では固定爪を使用しないことなどに留意する必要がある。

具体的データ

図1:高速耕うんロータリの側面図
図1:高速耕うんロータリの側面図

 

図2:速度段別作業速度とトラクタ(39kW)の機関回転数(定格 2,600rpm)の関係
図2:速度段別作業速度とトラクタ(39kW)の機関回転数(定格 2,600rpm)の関係

 

表1:開発機と対照機の主な仕様
表1:開発機と対照機の主な仕様

 

表2:現行機に対する開発機の性能比(供試トラクタ52kW)(単位:%)
表2:現行機に対する開発機の性能比(供試トラクタ52kW)(単位:%)

 

その他

  • 研究課題名:高速耕うんロータリの開発
  • 予算区分 :経常・緊プロ(共同)
  • 研究期間 :平成8年度(平成5~7年)