水田用栽培管理ビークルに搭載する粒状物散布機

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要約

水田用栽培管理ビークルに搭載し、粒状肥料や粒剤の散布を行う、施肥、除草、病害虫防除用の作業機である。むらの少ない高精度散布ができること、散布幅を細かく変更できること、10a当たり散布量を簡単に設定できること等の特徴を持つ。

  • 担当:生研機構・生産システム研究部・土壌管理システム研究・生育管理システム研究・大規模機械化システム研究
  • 連絡先:048-663-3901
  • 部会名:作業技術
  • 専門:機械
  • 対象:農業機械,稲類
  • 分類:普及

背景・ねらい

水稲作における粒状肥料の追肥、粒剤による除草や病害虫防除作業においては、背負動力散布機や水田用乗用管理機に搭載される散粒機などが利用されている。 これらの機械には、横方向の散布精度が高くないこと、作業速度が変わると進行方向の散布量が変動すること、作業幅を細かく変えられないことなどの問題がある。そこで、高精度散布ができ、取扱性に優れた粒状肥料及び粒剤散布用の作業機を開発した。

成果の内容・特徴

  • 原動車である水田用栽培管理ビークル本機に搭載し、施肥、除草、病害虫防除などの作業を行う作業機である。粒状肥料と粒剤を散布でき、粒状肥料を6~50kg/10a程度、粒剤を1~5kg/10a程度散布可能である(図1、表1)。
  • 開発機の特徴は以下のとおりである。
    (1)6箇所からロールで正確に繰出す方式のため、粒状物の種類や散布量が変わっても横方向落下量分布の変動係数は10%程度であり、散布精度が安定して高い(表2)。また、グランドPTOに連動して回転するモータで繰出部を駆動しているため、進行方向の散布精度も高い。
    (2)吐出口から下方へ散布する方式のため、風のある日でも作業できる。
    (3)10a当たり散布量をダイヤルで設定できるため、散布量の調節が容易である。
    (4)1.25m 単位で散布幅を変えられるため、様々な幅のほ場に対応できる。
    (5)高精度追肥による、米の品質むらの低減が期待できる(表3)。
    (6)一人で、労働負担の少ない能率的な作業ができる(表4)。

成果の活用面・留意点

平成8年度に高性能農業機械実用化促進事業に移行し、平成9年から市販を予定しており、水稲等への粒状肥料散布、除草粒剤散布、殺虫・殺菌粒剤散布に活用できる。
散布粒状物のみかけ比重を付属の容器で予め測定し、比重ダイヤルを合せておくこと、導管内における粒状物の搬送を円滑に行うため、エンジンを定格回転数付近に合わせ、作業速度の調節は変速レバーで行うようにすることなどに注意する必要がある。

具体的データ

図1:粒状物散布機の概略背面図
図1:粒状物散布機の概略背面図

 

表1:粒状物散布機の主な仕様
表1:粒状物散布機の主な仕様

 

表2:横方向の散布精度(採取単位幅:30cm)
表2:横方向の散布精度(採取単位幅:30cm)

 

表3:穂肥効果
表3:穂肥効果

 

表4:開発機と対照機(背負動力散布機)の作業能率
表4:開発機と対照機(背負動力散布機)の作業能率

 

その他

  • 研究課題名:水田用栽培管理ビークルの開発
  • 予算区分 :経常・緊プロ(共同)
  • 研究期間 :平成8年度(平成5年~7年)