農用車両ハイテク遠隔操作システム
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要約
搭載TVカメラから得られる車両周囲の画像情報やDGPSシステムにより得られる車両位置などの情報を車両から離れたオペレータの手元でモニタし、また、車両制御を一部自動化することによって、農用車両の快適な遠隔操作を実現した。
- 担当:生研機構・基礎技術研究部・メカトロニクス研究
- 連絡先:048-663-3901
- 部会名:作業技術
- 専門:機械
- 対象:農業機械
- 分類:指導
背景・ねらい
屋外環境下で稼働し、時には急傾斜地での稼働や農薬に被曝することもある農用車両の運転を安全で快適に行うことを目的に、車両周囲の状況を遠隔操作部でモニタする技術や航法技術、車両制御の自動化技術などを導入した新しい遠隔操作技術を開発する。
成果の内容・特徴
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車両は、市販トラクタをベースに各操作部を遠隔操作できるようにしたものである(表)。ボンネット上及び運転席上方に装備したTVカメラにより、車両前方や前輪付近の圃場の状況と、車両の前方、側方、後方(作業機周辺)の状況をモニタできる。TVカメラ視野内の車両各部には位置合わせ用マーカを設けている。さらに、操作状態や車両傾斜の検出センサ、GPSアンテナと受信機、及び各種情報の通信装置を装備している。
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遠隔操作部は、人間工学的に操作しやすいようにボタン、スイッチ等を配置した操作盤(図1)、コンピュータと情報表示ディスプレイ、通信装置、及びGPSアンテナと受信機により構成されている。情報表示では、TVカメラ画像、DGPS検出の車両位置、及び車両状態が1台のディスプレイ上にウインドウ表示される(図2)。
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遠隔操作では、通常行われる各部の同時操作や連続操作は操作盤からの信号のミキシングにより簡単な操作で実現できる。例えば、旋回時に大きく操舵すると、スロットル下げ、作業機上げ、TVカメラパーンが自動的に行われる。また、旋回時の操舵操作を記憶し、ボタン操作により随時再生して同一の操舵が再現される機能も有している。
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上記構成の遠隔操作システムを用いてロータリ耕うん作業を行った場合、区画全面の遠隔操作による作業を、離れた場所から座ったままで円滑に行うことができる(図3)。本システムによる遠隔操作は150mまで離れて行うことが可能である。
成果の活用面・留意点
本システムをトラクタや田植機などの各種農用車両に適用できる。より正確な位置決めを行うためには高精度な車両位置情報が必要である。
具体的データ

表1:車両と搭載TVカメラの主な仕様

図1:遠隔操作部の操作盤

図2:遠隔操作部のディスプレイ表示例

図3:遠隔操作システムによる作業
その他
- 研究課題名:位置制御技術の開発
- 予算区分 :経常・緊プロ(委託)
- 研究期間 :平成8年度(平成5年~7年)