農業用汎用マニピュレータシステム
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要約
本システムは農作業を行う人の力を機械力に置き換え、先端部に装着するハンドや工具を変更することにより、各種ハンドリング作業に汎用的に対応できる農業用マニピュレータである。
- 担当:生研機構・基礎技術研究部・メカトロニクス研究
- 連絡先:048-663-3901
- 部会名:作業技術
- 専門:機械
- 対象:農業機械
- 分類:研究
背景・ねらい
農業者の高齢化に伴って、野菜の収穫、調製、及び収穫物や農業資材の運搬など、ハンドリング作業の労働負担が大きな問題となっている。そこで各種ハンドリングに適用する農業用汎用マニピュレータシステムを開発し、労働負担の軽減を図る。
成果の内容・特徴
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マニピュレータの基本機構は、質量、可動範囲、安全性などの点で有利と考えられる極座標型とし、3自由度(鉛直回転軸、水平回転軸、伸縮軸)を有する(図1)。各軸のアクチュエータには制御性に優れたサーボモータを用い、アーム先端に配置した操作部(図2)のジョイスティック操作角度に比例した速度制御を行って、単に物を持ち上げるだけでなく、押す、引く等の力を発揮する。さらにアーム部に傾斜角センサ、変位センサを設置し、プログラマブルコントローラにより多軸同時制御を行って、マニピュレータ(搭載車両)が傾斜しても作業が容易に行えるよう、動作方向を絶対的な鉛直方向や水平方向にする機能を有する。
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マニピュレータ先端部には、簡単なジョイントを介して、空気圧により駆動するダイコンハンドや段ボールハンド、スイカハンドなどの各種作業ハンドが装着できる。
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マニピュレータの搭載車両には、操舵およびシャトル切替え用アクチュエータを装備した車両を使用し、マニピュレータ操作部から操舵及び前・後進/停止の操作が遠隔操縦できる。
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以上のシステム(図3)をダイコン収穫作業に供試した場合(図4)、慣行作業と比較して作業能率は劣るものの労働負担は軽減され、収穫物の損傷等も問題とならない作業が実施できる。
成果の活用面・留意点
労働強度の高いハンドリング作業に有効である。適用する作業や作業の流れに応じて、ハンドや制御法、搭載車両などの選定、組み合わせについて検討する必要がある。
具体的データ

図1:マニピュレータの諸元

図2:マニピュレータ操作部

図3:システム構成図

図4:作業試験の様子
その他
- 研究課題名:農業用ロボットマニピュレータの開発
- 予算区分 :経常
- 研究期間 :平成8年度(平成4年~8年)