自然光環境下における作物認識画像処理技術及び装置
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要約
レタスなどの葉菜類の育苗プラントにおいて、苗の生育状態を判断し、欠株等を検出する画像処理技術及び装置である。
- 担当:生研機構・企画部・野菜機械等開発チーム第2
- 連絡先:048-663-3901
- 部会名:作業技術
- 専門:機械
- 対象:農業機械,葉茎菜類
- 分類:普及
背景・ねらい
レタス等葉菜類の全自動移植機が普及し始め、これに伴い大型育苗プラントの普及も進んでいる。セル成型トレイを使用する全自動移植機では、育苗トレイ中に欠株があると、それが定植時の欠株につながる。このため、育苗段階で補植が行われたり、圃場で定植後に補植が行われ、その省力化が要望されている。このため、レタス等の野菜(葉菜類)の育苗プラントにおいて、セル成型トレイ育苗された苗の生育状態を判断し、欠株や生育不良株を検出する画像処理技術と装置を開発した。
成果の内容・特徴
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カメラの暗ノイズ補正機能、多段絞り画像入力機能、色度変換機能、自動色補正機能を備え、任意の色抽出範囲を設定できる画像処理技術及び装置である。絞り制御の可能なCCDカラーカメラ、開発した画像処理ボード及びホストコンピュータで構成される。
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多段絞り画像入力機能は、カメラの絞りを連続的に変化させ、各画素毎に信号レベルが飽和しない限りできるだけ明るい画像を取り込み、取り込んだ画像を画素単位に合成する機能である。
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開発した画像処理ボードは、画像処理プロセッサ(シャープ製LR0P300「SALA」)、多段絞り入力・画像合成回路、色度変換回路、色彩抽出回路等を内蔵し、NECPC98の拡張スロットに挿入するものである。
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明るさや色合いが変動する光環境条件下で、設定した任意の色を抽出できる。
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1画面100セル(30cm×30cm)の野菜苗を設定した色により抽出し、セル分割し、各セルの抽出した苗面積から欠株・不良株を認識するまでの処理時間は約2.3秒であり、汎用画像処理装置に比べ高速で処理が可能である(表1)。
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晴天、曇天、雨天など天候の変化、日向と日影及び朝、昼、夕など、明るさや色合いが変動する条件下(照度1000~100000Lx)で、子葉展開時のレタス、キャベツ、はくさい苗の欠株・不良株の認識率は約99%である(表2、表3)。
成果の活用面・留意点
開発した画像処理技術は、屋外の光環境条件下で、設定した色により対象物を抽出する際に活用できる。なお、逆光の条件には対応できない。欠株・不良株の認識が行える野菜苗の生育状態は、子葉展開時から本葉1枚までである。
具体的データ

表1:画像処理アルゴリズムと処理時間

表2:自動色補正機能の効果

表3:野菜苗の認識試験結果
その他
- 研究課題名:作物認識画像処理技術の開発
- 予算区分 :経常・緊プロ(委託)
- 研究期間 :平成8年度(平成5~7年)