作業時の負荷が多点同時測定できる計測用トラクタ
※アーカイブの成果情報は、発表されてから年数が経っており、情報が古くなっております。
同一分野の研究については、なるべく新しい情報を検索ください。
要約
本トラクタは作業中のトラクタ本体の動的挙動と作業機によってトラクタへ かかる負荷が同時に多点測定できる計測用トラクタである。また、様々な作業機に適 用でき、圃場での迅速なデータ収集・確認が可能である。
- 担当:生研機構・評価試験部・原動機第1・2試験室
- 担当:生研機構・基礎技術研究部・耐久性工学研究
- 担当:生研機構・畜産工学研究部・飼料生産工学研究
- 連絡先:048-663-3901
- 部会名:作業技術
- 専門:機械
- 対象:農業機械
- 分類:研究
背景・ねらい
既存のトラクタを改造して実作業時の負荷の多点同時計測ができるトラクタを開発し、トラクタ及び作業機の性能や耐久性評価のためのデータをより詳細に、かつ効率的に得ることをねらいとする。
成果の内容・特徴
-
トラクタ本体は、4輪駆動で湛水田作業可、機関呼称出力が60.3 kW(82
PS)のトラクタをベースにして、同クラスのトラクタに比べ機能アップを図り、計測用として汎用性の高いトラクタに改造してある。動力伝達系を改造することによってPTO速度段数を2段から4段へ増加させ、6及び21スプライン軸が装着可能である。油圧系統の改造とサブシリンダー追加によって油圧揚力を41kNに増加させてある。また、伝達系のギヤ比を変更することによって速度段数を多くかつ速度を比較的等間隔に配置させ、多様な作業に対応できるように
なっている。さらに、歯数の異なるギヤを用意しており、ギヤの交換によって希望する速度に近い速度段の設定が可能である。なお、輪距は多くの調節段数をもち、圃場条件によって容易に変更できる。トラクタの仕様を表1に示す。
-
本トラクタを用いた計測システムは、計測用トラクタ本体のデータ収集部と外部データ処理システムより構成される。
図1に測定の流れを示す。計測用トラクタ本体のデータ収集部は、各センサからのデータをリアルタイムで取り込んで、測定中にディスプレイで容易にデータの確認ができる。また、収録したデータはフロッピーディスクで、外部データ処理システムへ受け渡す。測定可能項目と測定範囲・精度を表2に示す。測定項目の選択やサンプリング周波数、測定範囲の設定・修正等はキャビン内で行うことができる。なお、本トラクタには測定用予備端子を設けてあり、他のセンサからのデータ収集も同時に行うことができる。牧草刈取りモーアを使用しての測定例を図2に示す。
成果の活用面・留意点
-
作業機を本トラクタに装着して作業するだけで、トラクタや作業機の負荷等のデータが迅速かつ容易に収録できることから、作業機やトラクタの開発改良のための有効なデータ収集に本トラクタを広く利用することが可能である。
-
データ収録数がデータロガーの性能に左右されるため、収録すべきデータの選定に配慮する必要がある。
具体的データ

表1:計測用トラクタの主な仕様

表2:測定可能項目

図1:測定の流れ

図2:モーアによる牧草刈取り作業時のトラクタのロール・ピッチ・前輪切れ角の測定結果の一例
その他
- 研究課題名:実働負荷計測用トラクタの開発
- 予算区分 :経常
- 研究期間 :平成8年度(平成7年~8年)