多重連結したけん引式作業機の追従制御法

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要約

トラクタに多重連結したけん引式作業機の走行軌跡が一致または平行して一定間隔を保つように作業機の車輪の舵角制御を行う方法。けん引式作業機の追従性が改善されることにより、高能率、高精度な作業が可能になる。

  • 担当部:生研機構・畜産工学研究部・飼料生産工学研究
  • 連絡先:048-654-7094
  • 部会名:作業技術
  • 専門:機械
  • 対象:農業機械
  • 分類:研究

背景・ねらい

飼料生産では作業の一層の高能率化、省力化が求められている。その対応策の一つとして、モーアコンディショナ等のけん引式作業機を多重連結して作業を行う方法が考えられるが、旋回時等に生じる走行軌跡のずれのため作業精度や作業効率の低下が懸念される。そこで、作業精度と旋回性の向上をねらいとして、多重連結したけん引式作業機の車輪の舵角を制御することによって走行軌跡のずれを低減する方法を開発した。

 

成果の内容・特徴

  • 本制御法は、2台の作業機をインライン同士及びオフセット同士で連結した場合を対象とし、インライン同士の連結では、トラクタが定常円旋回している時の走行軌跡と作業機の走行軌跡が一致するように、また、オフセット同士では、トラクタと各作業機の走行軌跡を平行して一定間隔に保つように、作業機の舵角制御を行う(図1)。なお、制御式の設定上、作業機の軌跡は、トラクタが直進から旋回へ移行する際には旋回方向内側に、旋回から直進へ移行する際には旋回外側にずれる現象が生じる。これを回避するため、移行の間は作業機の舵角をその直前の状態で保持する機能を制御プログラムに持たせた。
  • トラクタ舵角及び2台の作業機のけん引角を入力値とした作業機舵角のフィードバック制御を、1台のコンピュータで行うことができる。
  • 本制御法により、走行軌跡のずれを無制御時の7~30%に抑えることができる。一例として、2台の実験用トレーラ(舵角、けん引角検出用のポテンショメータと操舵用のDC12V駆動の電動シリンダを組み込んだ)を22kWのトラクタでけん引して前輪舵角15°で90°旋回した時の走行軌跡を図2、図3に示す。

成果の活用面・留意点

  • 実用システム開発時の基礎資料として活用できる。けん引式刈取作業機同士の多重連結作業あるいはロールベーラとベールラッパの組み合わせ作業等に適用可能である。
  • 実用システム開発に際しては、各種実作業に供試して作業負荷の影響及び路面摩擦係数の違いによる影響あるいは傾斜による影響等を確認する必要がある。

具体的データ

図1:定常円旋回時の車両位置関係(2輪モデル)と目標舵角算出式

図1:定常円旋回時の車両位置関係(2輪モデル)と目標舵角算出式

図2:インライン時の走行軌跡比較

図2:インライン時の走行軌跡比較

図3:オフセット時の走行軌跡比較

図3:オフセット時の走行軌跡比較

 

 

その他

  • 研究課題名:自動追従技術に関する研究-飼料生産作業における多重連結けん引作業機の追従制御
  • 予算区分:経常
  • 研究期間:平成12年度(平成7~14年)
  • 研究担当者:志藤博克、山名伸樹、亀井雅浩(現:中国農試)、吉永慶太
  • 発表論文等:平成7~12年度事業報告、平成12年度生研機構研究報告会資料、けん引式作業機の多重連結追従制御法に関する研究(第1報)、農機学会関東支部年次大会講要、7-8、1999