果樹のゲノム情報解析支援システム

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要約

果樹の発現遺伝子やゲノム配列の情報、DNAマーカーや多型情報などをデータベース化して相互に関連づけることが可能なシステムである。公開されている注釈情報を利用した遺伝子の機能推定や品種判別などに利用することができる。

  • キーワード:遺伝子、塩基配列、DNAマイクロアレイ、DNAマーカー、ゲノム
  • 担当:果樹研・果樹ゲノム研究チーム
  • 連絡先:成果情報のお問い合わせ
  • 区分:果樹・育種
  • 分類:研究・参考

背景・ねらい

カンキツをはじめ多くの果樹においても、ESTをはじめ、遺伝子情報やDNAマーカー情報など、多様なゲノム情報の集積が進んで いるが、これらの情報は先行するモデル植物と比較して数が少なくまた断片的である。また、独自解析した結果などは公開に至っていないものも多く、生理機能 解析やDNAマーカー開発などへの利活用を加速するためには、モデル植物などで明らかにされている情報と関連づけを行い、DNAマーカーや品種間多型情報 とも連携が可能な基盤が必要である。 そのため、様々な樹種、利用目的に対応可能なゲノム情報解析支援システムを開発する。

成果の内容・特徴

  • 本システムは、各種の発現遺伝子やDNAマーカー、およびそれらと関連する多様なゲノム情報を格納し、関連づけて閲覧することが可能なデータベースシステムである。
  • 塩基配列の情報が明らかとなっている各種果樹の発現遺伝子研究、DNAマーカー情報の整理と関連づけに利用することが出来る。
  • 独自解析用データベースでは、独自に解析・設計して得られたESTやcDNA、ゲノム配列、マイクロアレイなどの結果を格納 することが出来る。DNAシーケンサの波形情報から配列情報を抽出してクラスタリングするシステムを利用することで、結果の信頼性評価や全長配列の構築と 管理、配列間の相同性評価が可能である(図1)。
  • 公開情報データベースでは、公的なデータベース等で公開されている配列や注釈情報、代謝経路関連情報などを閲覧しやすい形に整理して格納 することができる。解析支援用データベースではDNAプライマー、PCR条件、遺伝子型、DNAマーカーなど、ゲノム解析の実施に必要な情報を格納する(図1、表1)。
  • 相同性検索システムを利用して公開情報との類似性を比較することで、独自解析結果を公開情報と関連づけて相同性を比較することが出来る。解析支援用データベースと相互参照することで、特定の遺伝子と関連する情報を統合して整理することができる。
  • インターネットを経由して、公的データベース等で公開されている情報との関連づけと閲覧が可能である。

成果の活用面・留意点

  • FileMaker v8.5で作成されており、MS Windows、Mac OS XなどのPC環境で動作する。
  • 独自解析で得られた塩基配列の評価やクラスタリングにはPhred/Phrap、CAP3、GAP4などを、相同性検索システムにはNCBI BLASTを利用できる。
  • 果樹以外の配列情報にも利用が可能である。
  • 本システムの利用希望者は、利用条件を承認した上で使用することが可能である。

具体的データ

図1 果樹ゲノム情報解析支援システムの機能関連図

 

表1 各データベースに格納されている情報(カンキツでの例)

 

その他

  • 研究課題名:果樹の育種素材開発のための遺伝子の機能解析及びDNA利用技術の開発
  • 課題ID:221-j
  • 予算区分:交付金プロ(果実発現遺伝子、形態・生理)、委託プロ(食品、アグリゲノム)
  • 研究期間:2006~2007年度
  • 研究担当者:清水徳朗、遠藤朋子、島田武彦、藤井 浩