ミカンハダニの有力天敵ミヤコカブリダニは九州のカンキツ園に広く発生している
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要約
ミカンハダニに対する有力な天敵として注目されているミヤコカブリダニは、九州地域の慣行防除および減農薬カンキツ園にも広く発生しており、生物的防除資材として活用が期待できる。
- キーワード:ミヤコカブリダニ、カンキツ、ミカンハダニ、天敵、九州
- 担当:果樹研・果樹害虫研究チーム
- 連絡先:成果情報のお問い合わせ
- 区分:果樹・病害虫
- 分類:研究・参考
背景・ねらい
ミヤコカブリダニは、難防除害虫であるハダニ類を捕食する天敵として知られている。本種は、1980年代までは全国的に採集例が 極めて少ないマイナー種とされてきたが、1990年代以降個体数が増加していることが指摘され、ナシやカンキツなどの果樹園で優占する例が報告されてお り、新たな天敵種として有望視されている。しかし、九州地域での発生例は知られていない。そこで、九州地域でのカンキツ園におけるミヤコカブリダニの発生 状況を調べ、ミカンハダニに対する天敵としての利用可能性を明らかにする。
成果の内容・特徴
- 九州各県の慣行防除および減農薬カンキツ園59園においてミヤコカブリダニの発生状況を調査したところ、県ごとに発生状況は異なるものの、いずれの県でもミヤコカブリダニの発生が観察され、本種は九州地域に広く分布している(図1)。
- 農薬散布体系の違いによって、ミヤコカブリダニの発生状況は大きく異なり、慣行防除および減農薬カンキツ園では、50%以上の園で発生がみられ、無農薬園ではほとんど観察されず、従来からミカンハダニの天敵として知られるニセラーゴカブリダニが多く発生する(表1)。
成果の活用面・留意点
- 本種は、影響の少ない農薬の選択やカンキツ園内および周辺の生息環境整備などの保護・増強技術を確立させることにより、慣行防除園でも生物防除への利用が期待できる。
具体的データ
その他
- 研究課題名:天敵等を用いた果樹害虫の制御・管理技術の開発
- 課題ID:214-n
- 予算区分:科研費(基盤研究B)
- 研究期間:2005~2007年度
- 研究担当者:岸本英成、手柴真弓(福岡県農総試)、近藤知弥(佐賀県果樹試)、宮崎俊英(長崎県果樹 試)、杉浦直幸(熊本県農研セ果樹研)、戸田世嗣(熊本県農研セ果樹研)、若月洋(大分県農研セ果樹研)、山崎礼一(大分県農研セ果樹研)、本山宏(宮崎 県総農試)、堀江宏彰(鹿児島県農総セ)
- 発表論文等:岸本ら (2007) 日本ダニ学会誌、16 (2): 129-137