すす紋病抵抗性の強いサイレージ用トウモロコシ新品種「きよら」

要約

「きよら」は、熟期が“中生の早”に属し、すす紋病抵抗性が極強で、初期生育に優れる。収量性や耐倒伏性は、同熟期の普及品種「ブリザック」と同程度である。

  • キーワード:トウモロコシ、サイレージ、品種、すす紋病、初期生育、飼料作物育種
  • 担当:北海道農研・寒地飼料作物育種研究チーム
  • 代表連絡先:電話011-857-9260 電子メールseika-narch@naro.affrc.go.jp
  • 区分:北海道農業・畜産草地、畜産草地
  • 分類:技術・普及

背景・ねらい

 近年の濃厚飼料価格の高騰もあり、高栄養で多収な自給粗飼料であるサイレージ用トウモロコシの重要性はますます高まっている。一方、道東を中心にすす紋病が多発傾向にあり、収量や飼料品質への影響も懸念されることから、本病抵抗性の強い品種が求められている。そこで、すす紋病抵抗性の強い品種を育成する。

成果の内容・特徴

  • 「きよら」は、Ho112×Ho100の単交雑一代雑種である(図1)。
  • 熟期は “中生の早”に属する。「ブリザック」に比べ、絹糸抽出期は同日で、収穫時の乾物率はやや高い(表1)。
  • 発芽期は「ブリザック」より1日早く、初期生育は「ブリザック」より優れる(表1)。
  • 耐倒伏性は「ブリザック」並である(表1)。
  • 稈長は「ブリザック」よりやや低く、着雌穂高は「ブリザック」並である(表1)。
  • 乾物総重、TDN収量および乾雌穂重割合は、いずれも「ブリザック」並である(表1)。
  • すす紋病抵抗性は“極強”で、抵抗性の基準品種「キタユタカ」より強く「ブリザック」よりやや強い(図2)。
  • 耐冷性は“やや強”~“強”で、“強”の「ぱぴりか」に比べてやや弱いが「ブリザック」よりやや強い(表2)。

成果の活用面・留意点

  • 適地は、北海道の道央北部、十勝中部および網走内陸部の気象条件が良好な地域。
  • 普及見込み面積は800haである。
  • 種子の供給開始は、2013年の予定である。
  • 平成22年度北海道農業試験会議(成績会議)における課題名および区分とうもろこし(サイレージ用)新品種候補「北交70号」(普及奨励)

具体的データ

表1「きよら」の適地における特性概要

表2「きよら」の耐冷性 (2007~2010年)

図1 「きよら」の草姿 および雌穂

図2「きよら」のすす紋病抵抗性

その他

  • 研究課題名:粗飼料自給率向上のための高TDN収量のとうもろこし、牧草等の開発
  • 中課題整理番号:212c.2
  • 予算区分:基盤、委託プロ(えさプロ)
  • 研究期間:2004~2010年度
  • 研究担当者:濃沼圭一、三木一嘉、榎宏征、伊東栄作、斎藤修平、玉置宏之、吉田昌幸(道総研畜試)、寺見裕(道総研畜試)、飯田憲司(道総研畜試)