ソバ粉リパーゼ活性はソバゆで麺香り構成要素の揮発性アルデヒド量に関係する
要約
ソバ粉中のリパーゼ活性が高いものほどゆで麺の香りの重要構成要素である揮発性アルデヒド量が多い。リパーゼ活性はソバゆで麺の香りの多い系統の選抜に使える指標である。
- キーワード:ソバ、香り、リパーゼ、パーオキシダーゼ、揮発性アルデヒド
- 担当:北海道農研・機能性利用研究北海道サブチーム、寒地地域特産研究チーム、パン用小麦研究チーム
- 代表連絡先:電話011-857-9260 電子メールseika-narch@naro.affrc.go.jp
- 区分:北海道農業・畑作、作物
- 分類:研究・普及
背景・ねらい
ソバゆで麺の独特の香りは、ソバの美味しさを特徴づける重要な因子だが、ソバゆで麺の香りの多い系統の選抜は難しい。揮発性アルデヒド(ヘキサナール、ブタナール、メチルブタナール等)はゆで麺の香りの重要構成要素とされている。そこで、その生成に寄与するソバ粉中の酵素(リパーゼ、パーオキシダーゼ、リポキシゲナーゼ)とゆで麺の揮発
性アルデヒド量との関係を明らかにし、育種への応用のため、酵素活性がソバゆで麺の香りの多い系統の選抜に活用可能な指標であることを示す。
成果の内容・特徴
- ソバ粉のリパーゼ活性はゆで麺のヘキサナール・ブタナール類量と正の相関関係があり、パーオキシダーゼ活性はメチルブタナール類量と正の相関関係がある(表1)。
- ソバ粉のリポキシゲナーゼ量は、ゆで麺の揮発性アルデヒド量との相関関係は認められない(表1)。
- キタワセソバのソバ粉のリパーゼ活性が最高値あるいは最低値を示す1個体をそれぞれ親にして個体選別を繰り返すと、3世代目で選抜効果が見られる(図1)。
成果の活用面・留意点
- リパーゼ活性、パーオキシダーゼ活性とは相関関係が無い香気成分も存在する。
- リパーゼ活性の高い系統のソバ粉は、貯蔵中に脂質劣化しやすい。
具体的データ


その他
- 研究課題名:いも類・雑穀等の機能性の解明と利用技術の開発
- 中期課題整理番号:312a
- 予算区分:受託、ジーンバンク( 新規特性)
- 研究期間:2006~2010 年度
- 研究担当者:鈴木達郎、六笠裕治、森下敏和、野田高弘、山内宏昭、瀧川重信、橋本直人
- 発表論文等: 1) Suzuki T. et al. (2010) J. Sci. Food Agric. 90: 1232-1237
2) Suzuki T. et al. (2009) Fagopyrum 26: 63-67