サイレージ用トウモロコシ一代雑種の新親品種自殖系統「Ho100」

要約

サイレージ用トウモロコシの親自殖系統「Ho100」(エイチオーヒャク)は、中生のフリント種で、耐倒伏性が強く、組合せ能力が高い。一代雑種品種の親系統として利用できる。

キーワード:トウモロコシ、自殖系統、フリント、耐倒伏性、飼料作物育種
担当:北海道農研・寒地飼料作物育種研究チーム
代表連絡先:電話011-857-9260 電子メールseika-narch@naro.affrc.go.jp
区分:北海道農業・畜産草地、畜産草地
分類:研究・普及

背景・ねらい

わが国の栽培環境への適応性の高いトウモロコシの優良F₁品種を育成するためには、優秀な親自殖系統の育成が不可欠である。生育期間中の積算気温が制約される北海道では地域ごとに黄熟期刈りの可能な熟期別の優良品種が必要であり、重要病害のすす紋病に対する抵抗性や耐倒伏性に優れる系統が求められている。そこで、これらの特性に優れ、デント種との組合せ能力の高い中生のフリント種自殖系統を育成する。

成果の内容・特徴

フリント種の改良集団「EF95」を母材とし、病害抵抗性、耐倒伏性、雌穂特性などにより選抜、育成した自殖系統である(図1)。
早晩性は“中生”に属する(表1)。
初期生育は“良”、稈長および着雌穂高は平均的で、稈径はやや太い(表1)。雄穂長は約25cmとやや短く、枝梗数は約14と多い。雌穂は粒列数が平均15.7列で(表1)、先端円錐型である。子実はやや褐色を帯びた黄色で丸形である。
採種性は、放任受粉下での採種量が実収量で38.2 kg/aと花粉親としては実用的な水準にある。花粉飛散程度は“やや良”である(表1)。
すす紋病抵抗性およびごま葉枯病抵抗性は“やや強”である。黒穂病抵抗性は“中”で、耐倒伏性は“強”である(表2)。
本系統を片親とする単交雑F₁組合せの平均乾物収量は、同熟期の普及品種とほぼ同じ水準にあり、組合せ能力は高い(表3)。本系統を花粉親に用いて育成された単交雑F₁系統「北交70号」は、普及品種「ブリザック」並の熟期で、「ブリザック」と比較して乾物収量は同程度で、すす紋病抵抗性と初期生育に優れる(表3)。