超強力小麦「ゆめちから」ともち小麦「もち姫」を利用した新食感のベーグル

要約

「ゆめちから」と「もち姫」のブレンド粉を用いたベーグルは、外国産銘柄の強力粉のものより内相が柔らかく、特に「ゆめちから」、「もち姫」含量30%では硬くなりにくい。さらに、もち小麦のもちもち感も付与できる。

  • キーワード:もち小麦、超強力小麦、製パン特性、ベーグル、物性
  • 担当:北海道農研・パン用小麦研究チーム
  • 代表連絡先:電話011-857-9260
  • 区分:北海道農業・畑作
  • 分類:技術・参考

背景・ねらい

もち小麦「もち姫」は、もち性の特徴的な物性が注目され、菓子類にもちもち感を付与する等の用途開発が行われている。しかし、「もち姫」をパンに使用した場合は、タンパク含量と澱粉特性が製パンに不向きなため用途が十分に開発できていない。そこで、本研究では、「もち姫」と超強力小麦「ゆめちから」のブレンド粉を用い、両者の特性を活かしてもちもち感を有し、外国産銘柄の強力粉よりもパン内相が柔らかく、老化しにくいベーグルを創出することを試みる。

成果の内容・特徴

  • 「ゆめちから」ベースのベーグルでは、「もち姫」含量30%~50%で比容積が増加する。「ゆめちから」ベースのベーグルは外国産銘柄の強力粉「カメリヤ」のものよりも比容積が大きい(図1)。
  • 焼成1日後のベーグル内相の硬さの測定より「ゆめちから」および「ゆめちから」「もち姫」ブレンド粉のベーグルの方が「カメリヤ」のものよりも柔らかくなる(図2)。
  • ベーグル内相の老化は、「ゆめちから」および「もち姫」含量30%において内相が時間経過と共に硬くなりにくく、「カメリヤ」のベーグル内相よりも老化が遅くなる。「もち姫」含量が増加するほど老化しやすいが、「カメリヤ」のものよりも内相の柔らかさは維持する傾向である。(図2)
  • ベーグル内相のもちもち感についての官能評価では、「もち姫」含量の増加に伴いもちもち感が強くなる傾向が認められている(図3)。

成果の活用面・留意点

  • 本成果は最低限のパン材料で行ったものであり、製パン性を向上させる素材、老化抑制効果のある素材の添加等で製造者が目指す品質に調整できる余地がある。

具体的データ

図1 「もち姫」含有ベーグルの外観および比容積

図2 「もち姫」含有ベーグル内相の硬さの経時変化

図3 「もち姫」含有ベーグル内相のもちもち感 の官能評価(「ゆめちから」ベース)

その他

  • 研究課題名:実需者ニーズに対応したパン、中華めん用等小麦品種の育成と加工・利用技術の開発
  • 中課題整理番号: 311c
  • 予算区分: 基盤、所特定、重点強化費(国産小麦需要拡大研究)
  • 研究期間:2009~2010年度
  • 研究担当者:長澤幸一、西尾善太、田引正、伊藤美環子、中村和弘、谷口義則、山内宏昭