アカクローバを組み合わせたガレガ・チモシー草地の初期マメ科率向上
要約
ガレガ・チモシー草地にアカクローバを少量(0.05kg/10a)組み合わせることは、初期マメ科率の向上とアカクローバ衰退後のガレガへの置換に有効である。マメ科率は2年目で2~10%高く、アカクローバ消失後のマメ科率は組み合わせない場合と同等となる。
背景・ねらい
新規マメ科牧草ガレガは永続性とチモシーとの混播適性に優れるが、播種後の生育が緩慢であることから、普及拡大には初期マメ科率の向上が求められている。本研究では、特に生育が劣る夏季造成時のチモシーとの混播においてガレガを補完するため、短年生で2~3年目に収量がピークに達し、その後衰退していくアカクローバを組み合わせた播種法の開発を目的とする。このためアカクローバの播種量と品種の二つの処理要因について、播種量では混播標準から15分の1までの4水準、品種は生育特性の異なる早晩3品種の各効果を2年目(播種翌年)以降の初期マメ科率の向上とその後のアカクローバからガレガへ置換の二つの点についてガレガ・チモシー区との比較から検討する。
成果の内容・特徴
- 二種類の処理要因のうち、播種量はガレガ率、アカクローバ率および両種の合計割合であるマメ科率に2年目および3年目以降でも有意な差を与えるが、品種の違いは試験期間を通していずれの特性にも差が認められない(表)。
- 2年目のマメ科率はアカクローバの播種量の増加とともに上昇する。少量を組み合わせる0.02~0.1kg/10a播種区のマメ科率は1番草で8~9%および2番草で14~23%となり、ガレガ・チモシー区の6%、11%より高くなる。混播標準の0.3kg/10a播種区のマメ科率は17%、34%と顕著に高くなり、アカクローバの組み合わせによる初期マメ科率の向上効果がみられる(図1)。
- 5年目2番草以降マメ科率の高かった少量(0.05kg/10a)のアカクローバの組み合わせ区では(図1)、ガレガ・チモシー区より2年目1番草で2%、2番草で9%マメ科率が高く、3年目以降も同等からやや高く、アカクローバ消失後の6年目1番草では25%とほぼ同等となる(図2)。
- 初期のマメ科率が最も高かった0.3kg/10a播種区では6年目1番草のマメ科率は10%以下と停滞する(図1)。
成果の活用面・留意点
- 初期のマメ科率が低いガレガ・チモシー草地の夏季造成時のマメ科率向上技術の開発の参考になる。
- 本試験は道央の結果であり、ガレガおよびアカクローバの播種時期、播種量については地域差がある。
平成22年度北海道農業試験会議(成績会議)における課題名および区分「アカクローバを組み合わせたガレガ・チモシー草地の初期マメ科率向上」(研究参考)
具体的データ



その他
- 研究課題名:粗飼料自給率向上のための高TDN 収量のとうもろこし,牧草等の品種育成
- 中課題整理番号:212c.2
- 予算区分:基盤、受託
- 研究期間:2001?2010 年度
- 研究担当者:奥村健治、我有満、高田寛之、陳俊、磯部祥子、廣井清貞、松村哲夫