サイレージ用トウモロコシ一代雑種の新親品種自殖系統「Ho104」
要約
サイレージ用トウモロコシの親自殖系統「Ho104」(エイチオーヒャクヨン)は、晩生のデント種で、耐倒伏性が強く、組合せ能力がデント種、フリント種のいずれとも高く、採種性に優れる。一代雑種品種の親系統として利用できる。
背景・ねらい
わが国の栽培環境への適応性の高いトウモロコシの優良F1品種を育成するためには、優秀な親自殖系統の育成が不可欠である。生育期間中の積算気温が制約される北海道では地域ごとに黄熟期刈りの可能な熟期別の優良品種が必要であり、重要病害のすす紋病に対する抵抗性や耐倒伏性に優れ、かつ採種性の高い系統が求められている。そこで、これらの特性に優れる晩生のデント種自殖系統を育成する。
成果の内容・特徴
- (Ho72/Ho40)/クラリカを母材とし、病害抵抗性、耐倒伏性、雌穂特性などにより選抜、育成した自殖系統である(図1)。
- 早晩性は“晩生”に属する(表1)。
- 初期生育は“良”、稈長はやや低いが着雌穂高はやや高く、稈径は平均的である(表1)。雄穂長は約29cmと平均的で、枝梗数は約7とやや少ない。雌穂は粒列数が平均16.0列で(表1)、先端円錐型である。子実は橙黄色で方形である。
- 採種性は、放任受粉下での採種量が実収量で65.8 kg/a、F1採種栽培での種子親としての利用を想定した雌雄畦比3:1換算で49.4 kg/aと高い。花粉飛散程度は“やや良”である(表1)。
- すす紋病抵抗性は“やや強”、ごま葉枯病抵抗性は“弱”である。黒穂病抵抗性は“中”、耐倒伏性は“強”である(表2)。
- 本系統を片親とする単交雑F1組合せの平均乾物収量は、デント種、フリント種のいずれとの組合せでも同熟期の普及品種と同程度の水準にあり、組合せ能力は高い(表3)。
成果の活用面・留意点
- F1採種用の種子供給は2012年からの予定である。
- ごま葉枯病抵抗性は弱いので、F1組合せの交配相手には本病抵抗性の強い系統を用いることが望ましい。
具体的データ




その他
- 研究課題名:粗飼料自給率向上のための高TDN 収量のとうもろこし、牧草等の開発
- 中課題整理番号:212c.2
- 予算区分:基盤
- 研究期間:1998~2010 年度
- 研究担当者:濃沼圭一、伊東栄作、斎藤修平、三浦康男、佐藤尚、三木一嘉、榎宏征