剥きタマネギ加工には球高の値が大きいタマネギが適する
要約
剥きタマネギ加工における歩留まりはタマネギの球高により変動し、球高の値が大きくなるほど歩留まりは向上する。異なる加工形式においてもその関係性は維持されるため、剥きタマネギ加工には球高の値が大きいタマネギが適する。
- キーワード:タマネギ、業務・加工用途、剥きタマネギ加工、加工歩留まり、球形指数
- 担当:業務需要畑野菜作・寒地畑野菜輪作
- 代表連絡先:電話 011-857-9260
- 研究所名:北海道農業研究センター・畑作研究領域
- 分類:研究成果情報
背景・ねらい
国内のタマネギ需要の6割は業務・加工用(以下、加工用)となっているが、産地の加工用タマネギ生産への対応は鈍く、国産品の供給量が少ないため、加工用を中心に約30万トンが通年で輸入されている。輸入品からのシェア奪還のためには、実需者の求める歩留まりの高い加工用タマネギが国内で生産される必要がある。
剥きタマネギ加工の工程は、タマネギ上下部を一定幅で機械切除し作業員により外皮等を剥く方式と機械で外皮等を除去した後に作業員が上下部を切除する方式に大別され、剥きタマネギ加工における製品歩留まりは、外皮除去や上下部切除によって生じる加工残渣の多少によって変動する。そこで、剥きタマネギ加工に適したタマネギ形質について明らかにすることで、国内の加工用タマネギ生産拡大に向けた取り組みに寄与する。
成果の内容・特徴
- 機械による上下部切除を想定したA条件(タマネギ上下部を一定の割合で切除し、一部外皮化した保護葉を除去する)で剥きタマネギ加工試験(図1)を行い、加工前と加工後の球の形質について関係性を解析した結果、剥きタマネギ加工歩留まりは、球高と強く相関する(表1、図2)。
- 作業員による上下部切除を想定したB条件(りん葉を2枚除去)においても、剥きタマネギ加工歩留まりが球高と最も強く相関する(表1、図2)。
- 剥きタマネギ加工業者が目安とする歩留まり80%以上を達成するためには、A方式では約90mm、B方式では約84mmより球高の大きい原料球の使用が目安となる(図2)。
成果の活用面・留意点
- 国内で加工用タマネギ生産を進める産地において、生産するタマネギ品種の選定および生産物の評価基準として利用できる。
- 公的機関および民間種苗会社における、加工用タマネギ品種育成の参考となる。
具体的データ
その他
- 中課題名:業務用野菜・畑作物を核とした大規模畑輪作生産システムの確立
- 中課題番号:113a1
- 予算区分:交付金、委託プロ(加工プロ)、実用技術
- 研究期間:2009~2012年度
- 研究担当者:室 崇人、東野裕広(JA全農)、村岡賢一(JA全農)、菅原亮子(JA全農)
- 発表論文等:室ら(2011)園芸学研究、10(2):139-142