根中糖分が高く、製糖品質が優れるてんさい新品種「アマホマレ」
要約
「アマホマレ」は、根中糖分が高く、製糖品質が優れる品種である。また、普及品種「レミエル」より褐斑病の発生が少ない。
- キーワード:てんさい、一代雑種、根中糖分、製糖品質、褐斑病
- 担当:業務需要畑野菜作・寒地畑野菜輪作
- 代表連絡先:電話 011-857-9260
- 研究所名:北海道農業研究センター・畑作研究領域
- 分類:普及成果情報
背景・ねらい
てんさい製糖業においては、砂糖消費量の漸減や輸入糖との競合などの理由から、生産コストの大幅な削減が求められている。高糖分で製糖品質が優れる原料は製糖歩留まりが良く、製糖コストを低減することができるため、製糖会社からは、高糖分で製糖品質が優れる品種の育成に対する要望が強い。また、糖分取引制度による原料の買い入れにおいて、根中糖分が基準糖度に達しにくい、いわゆる低糖分圃場においては、根中糖分が高い品種の作付けは低糖分を回避する対策として有効であり、農家所得の向上に貢献できる。そこで、既存の普及品種より根中糖分が高く、製糖品質が優れる品種を育成する。
成果の内容・特徴
- 「アマホマレ」は、北海道農業研究センターとベルギーのセスバンデルハーベー社との国際共同研究「てん菜優良一代雑種の早期育成に関する研究」により育成した単胚・三倍体一代雑種品種である(図1)。
- 「アマホマレ」は「レミエル」と比較して糖量が同程度であるが、根中糖分が高い。また、「アマホマレ」は製糖品質の指標である不純物価が「レミエル」より低く、製糖品質が優れる(表1)。
- 「アマホマレ」は「レミエル」より、褐斑病の発病程度は低く、根腐症状株の発生も少ない(表1)。
- 「アマホマレ」の褐斑病抵抗性は"中"で「レミエル」より優れる(表2)。
- 実証試験では、「アマホマレ」は「レミエル」と比較して根中糖分と不純物価は同等であるが、糖量はやや多い。また、褐斑病の発病程度が低く、根腐症状株の発生も少ない(表3)。
普及のための参考情報
- 普及対象:テンサイ生産者
- 普及予定地域・普及予定面積:北海道一円を対象とする。「レミエル」の一部と置き換えて2013年から100ha以上の作付面積を予定している。
- その他
1)根腐病抵抗性が"弱"なので、適切な防除に努める。
2)そう根病抵抗性が"弱"なので、発病圃場での栽培は避ける。
3)褐斑病抵抗性品種ではないので、適切な防除に努める。
4)種子はホクレン農業協同組合連合会からの販売を予定している。
具体的データ
その他