エリアンサスは乾物生産性が高くセルロ-ス系資源作物として有望である

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要約

エリアンサスは、年間乾物収量5トン/10ア-ル程度の高い乾物生産性を示し、永続的に生産性を維持し、構成成分の灰分割合は6.5パ-セント少ないのでセルロ-ス系資源作物として有望である。機械収穫には既存の飼料用収穫機械が利用できる。

  • キーワード:セルロ-ス系資源作物、エリアンサス、Erianthus、バイオマス、草本
  • 担当:九州研・バイオマス・資源作物開発チーム(牧草・飼料作物育種ユニット)
  • 代表連絡先:電話096-242-7754
  • 区分:バイオマス
  • 分類:技術・参考

背景・ねらい

地球温暖化対策として高乾物生産性の資源作物開発が求められている。エリアンサス(Erianthus ravennae (L.) Beauv.)は永年性イネ科植物であり、高乾物収量が得られる潜在能力が高いセルロ-ス系資源作物として注目されている。しかし、エリアンサスの特性に関しては、具体的なデ-タが少なく、未知の部分が多い。そこで、高乾物生産性の資源作物の基本的な特性と考えられる乾物収量、圃場における乾物率の継時変化、構成成分を調査し、併せて機械収穫の適性を確認して、資源作物素材としての可能性を明らかにする。

成果の内容・特徴

  • エリアンサス系統「KO1」の株分け移植1年目の乾物収量は約2トン/10ア-ル程度であるが、年次毎に増加し、移植3年目には5トン/10ア-ルに達し、高収量性は4年目も維持される(図1)。
  • 乾物率は、降霜後立毛乾燥時の12月中旬において約38%であり、その後次第に増加し、翌年3月上旬においては約65%になる(図2)。
  • 粗灰分、ヘミセルロ-ス、セルロ-ス、リグニンの含有率はセルロ-ス系資源作物の標準であるススキに類似する。ただし、単少糖類(シュクロ-ス、グルコ-ス、フラクト-ス)の含有率はススキより大きい(表1)。
  • 既存の飼料用収穫機による機械収穫が可能である(写真)。

成果の活用面・留意点

  • エリアンサスの栽培モデル構築或いは実証的栽培のための試験設計に利用できる。
  • 本成果は、九州沖縄農研(熊本県合志市)における試験による。株分け移植の栽植方法は、畦幅2メ-トル、株間1メ-トルである。施肥条件は、初年目に基肥として、堆肥10トン/10ア-ルおよび化成肥料で3要素成分各10kg/10ア-ル施用し、2年目以降は無施肥としている。
  • エリアンサス系統「KO1」は九州沖縄農研で保存しており、実験材料として分譲可能である。

具体的データ

図1 エリアンサス「KO1」の移植後の乾物収量の年次変化 ( )内は収穫日 2005.5.10移植 2005-5009調査

図2 エリアンサス「KO1」の収穫時の乾物率の継時変化 2005.5.10移植 2005-2006調査

表1 エリアンサス「KO1」の主な構成成分

写真エリアンサスの立毛乾燥の様子 飼料用収穫機による収穫作業(右)

その他

  • 研究課題名:バイオエタノ-ル原料としての資源作物の多収品種の育成と低コスト・多収栽培技術の開発
  • 課題ID:224a
  • 予算区分:基盤
  • 研究期間:2005年度-2008年度
  • 研究担当者:我有 満、高井智之、桂 真昭、山下 浩