ホシアサガオとヒロハフウリンホオズキの暖地大豆群落での生育

※アーカイブの成果情報は、発表されてから年数が経っており、情報が古くなっております。
同一分野の研究については、なるべく新しい情報を検索ください。

要約

暖地大豆栽培においてダイズ播種時期に発生したホシアサガオとヒロハフウリンホオズキの生育・種子生産量は大きい。播種後30日目に発生した両草種の生育はダイズとの競合によって著しく抑制されるが、ホシアサガオについては種子を生産する可能性がある。

  • キーワード:種子生産、生育、暖地大豆畑、ヒロハフウリンホオズキ、ホシアサガオ
  • 担当:九州沖縄農研・九州水田輪作研究チーム
  • 代表連絡先:電話0942-52-3101
  • 区分:九州沖縄農業・水田作
  • 分類:技術・参考

背景・ねらい

暖地大豆畑には帰化アサガオ類やホオズキ類が侵入してきており、それらが蔓延化した圃場もしばしばみられる。ダイズは茎葉繁茂に優れた作物であり、暖地では栽培初期に発生した雑草を十分に防除すれば雑草害を防ぐことが可能であり、ノビエについての必要除草期間は13日とされている。しかし、新規帰化雑草の生育についての知見は少なく、必要除草期間等も不明である。そこで、新規帰化雑草の防除技術開発に資するため、ホシアサガオとヒロハフウリンホオズキの大豆群落内における生育を明らかにする。

成果の内容・特徴

  • ダイズ播種時期に発生したホシアサガオとヒロハフウリンホオズキの生存率は高く、個体乾物重も大きく、種子(果実)も多く生産する(図1、表1)
  • ダイズ播種後15日目に発生したホシアサガオとヒロハフウリンホオズキの個体乾物重や種子生産は競合によって抑制され、ヒロハフウリンホオズキでは生存率も低下する。しかし、それらの個体乾物重や種子の生産状況からは防除が必要であると判断される(図1、表1)。
  • ダイズ播種後30日目に発生したホシアサガオの生育は競合によって著しく抑制されるので、ダイズへの生育阻害回避のための必要除草期間は30日である。しかし、30日目に欠株や畦間から発生した個体では種子を生産する可能性はあるので、種子生産の回避にまで考慮した必要除草期間は30日よりも長くなる(図1、表1)。
  • ダイズ播種後30日目に発生したヒロハフウリンホオズキの生存率は著しく低く、生存個体の乾物重も競合によって著しく抑制され、種子も生産できない。ヒロハフウリンホオズキの必要除草期間は30日である(図1、表1)。

成果の活用面・留意点

  • 暖地大豆畑での帰化アサガオ類およびホオズキ類の防除技術開発のための基礎的情報として活用する。
  • この試験は福岡県筑後市において適期播種(7月上旬)したダイズ品種「フクユタカ」を用いて行った。
  • 圃場に移植したホシアサガオとヒロハフウリンホオズキには移植後5日間にわたって灌水を行い、植え傷みが生じないようにした。
  • ダイズ播種1ヶ月後における1回のみの中耕培土ではダイズ播種時期に畦間で発生したホシアサガオとヒロハフウリンホオズキは防除できるが、株間付近で発生した個体は防除できず、それらによる雑草害の回避には不十分である(図2)。

具体的データ

図1 ダイズ圃場において発生時期が異なる新規帰化雑草の10月上旬における生存率と乾物重

図2 大豆播種1ヶ月後の中耕培土による地点別残草率

表1 10月上旬における果実の数1)

その他

  • 研究課題名:地域条件を活かした高生産性水田・畑輪作のキーテクノロジーの開発と現地実証に基づく輪作体系の確立
  • 課題ID:211-k-14
  • 予算区分:委託プロ(加工)、委託プロ(担い手)
  • 研究期間:2007~2008年度
  • 研究担当者:住吉正、保田謙太郎