クロルピクリン剤を利用したサラダナ根腐病の防除法の改善
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要約
春から秋の晴れ日の早朝にクロルピクリン剤で土壌消毒を行い、消毒後にトラクタで耕耘せず、洗浄した育苗箱で育成した苗を定植すれば、サラダナ根腐病の再発が遅れ、消毒後の2作または3作の収穫が可能になる。
- キーワード:土壌消毒、フザリウム、サラダナ、クロルピクリン
- 担当:九州沖縄農研・暖地施設野菜花き研究チーム、イチゴ周年生産研究チーム
- 代表連絡先:電話0942-43-8271
- 区分:九州農業・病害虫
- 分類:技術・参考
背景・ねらい
土耕栽培のサラダナ産地で発生している根腐病はクロルピクリン剤またはダゾメット剤を利用した土壌燻蒸消毒で防除されている。しかし、消毒後の2作目または3作目には多発生するため、再発の被害が大きい。再発の主因が未消毒の罹病根であることが明らかになったので、防除技術の改善を図る。
成果の内容・特徴
- 改善策は、1消毒後にトラクタで耕耘せず、マルチャーで畦を立てる、2春~秋の晴れの日の早朝に土壌消毒を行う、3育苗箱を洗浄機等で水洗して苗感染を防ぐことである。
- 三つの改善策で、土壌消毒後の2作または3作の再発被害を回避できる(表1)。
- 最も効果の高い改善策は、消毒後にトラクタで耕耘しないことである(表2)。耕耘層下部に残った未消毒の罹病根がトラクタの耕耘で拡散しないためである。
- 地表下5cmの最高地温が消毒後の3日間に43°C以上になれば、少なくとも耕耘層上部の罹病根は消毒できる(表3)ので、春~秋に晴れの日を選んで土壌消毒をすれば、消毒効果は向上する。
- 苗感染は定植時に育苗箱に付着した土壌で発生する。育苗箱を洗浄機等で水洗すれば、苗感染による被害を回避できる。
成果の活用面・留意点
- 九州地域におけるクロルピクリン消毒の適期は4月下旬~10月上旬である。
- マルチ周辺の土壌が硬い時は、その部分を小型管理機で耕耘してから、マルチャーで畦を立てる。
- 夏にクロルピクリン剤で消毒すると、次の消毒が効果の低い低温期になるので、土壌消毒を行ってサラダナを1作栽培するか、他作物を栽培する。
- マルチャーでは十分に砕土できないので、2作目以後の定植に手間がかかる。
具体的データ



その他
- 研究課題名:暖地における簡易施設等を活用した野菜花きの高収益安定生産技術の開発
- 課題ID:213-d
- 予算区分:委託研究(高度化事業)、基盤
- 研究期間:2004-2008年度
- 研究担当者:西村範夫・高山智光・藤田和久(特別研究員)
- 発表論文等:西村(2006)土壌伝染病談話会レポートNo. 23: 24-39