雑草アサガオ類の種子は傷つけ処理後の湛水によって死滅する

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要約

暖地の大豆畑に蔓延する雑草アサガオ類の種子は、傷つけ処理後に湛水土中に埋土することで死滅する。埋土温度が低いほど死滅に要する日数が長くかかる。屋外の条件でも、季節を問わず十分な効果がある。

  • キーワード:帰化雑草、傷つけ処理、耕種的防除、雑草アサガオ類、大豆作、湛水
  • 担当:九州沖縄農研・九州水田輪作研究チーム
  • 代表連絡先:電話0942-52-3101
  • 区分:九州沖縄農業・水田作
  • 分類:研究・参考

背景・ねらい

雑草アサガオ類は暖地大豆畑に発生し、一部では大発生して甚大な被害をもたらしている。現在、雑草アサガオ類の防除に有効な除草剤は非選択性除草剤に限られるため、大豆栽培期間における防除には限界があり、非作付け期間における効果的な防除技術、とりわけ埋土種子低減技術の確立が望まれる。そこで、埋土種子低減技術開発のための基礎資料とするため、土中種子の生存に及ぼす土壌水分と傷つけ処理の影響を明らかにする。

成果の内容・特徴

  • ホシアサガオの無処理種子は乾燥状態で保存、および畑水分土中または湛水土中に30~60日間埋土されても大部分は生存するが、マメアサガオおよびマルバルコウでは、高温(35°C)で畑水分土中および湛水土中に30~60日間埋土された場合、生存率が低下する。また、マルバルコウの無処理種子は乾燥状態で30~60日間保存された場合の生存率は保存前に比べて低い(表1)。
  • ホシアサガオおよびマメアサガオの傷つけ処理種子は、乾燥状態で10~15日間保存されても大部分は生存するが、畑水分土中および湛水土中では埋土期間の延長に伴って死滅が進行し、死滅に要する日数は低温(5°C)ほど長くなる。マルバルコウの傷つけ処理種子は、畑水分土中および湛水土中への埋土とともに、乾燥保存においても埋土・保存日数の延長に伴って死滅が進行する(表2)。
  • 屋外のポット条件でも、傷つけ処理をしたホシアサガオ種子を湛水土中へ2週間埋土することで全て死滅させることができ、季節を問わず十分な効果がある(図1)。傷つけ処理をしたホシアサガオ種子を畑水分土中へ埋土した場合は、冬期以外は出芽が認められ、春期には未発芽で生存する種子も認められる。

成果の活用面・留意点

  • 雑草アサガオ類が蔓延した圃場での耕種的防除法開発のための基礎資料とする。
  • 暖地の雑草アサガオ類として、大豆畑ではホシアサガオとアメリカアサガオの発生が多く、他にマメアサガオ、マルバルコウおよびアサガオの発生が認められる。
  • 雑草アサガオ類は佐賀県内の大豆畑または路傍で採集した系統を供試し、2007年は現地で採集、2008年は所内のポット条件で育成した個体から採集した種子を用いた。

具体的データ

表1 無処理種子の生存率に及ぼす貯蔵条件の影響

表2 傷つけ処理した種子の生存率に及ぼす貯蔵条件の影響

図1 傷つけ処理したホシアサガオ種子の土中生存状態

その他

  • 研究課題名:地域条件を活かした高生産性水田・畑輪作のキーテクノロジーの開発と現地実証に基づく輪作体系の確立
  • 課題ID:211-k.14
  • 予算区分:委託プロ(加工)、委託プロ(担い手)
  • 研究期間:2006~2008年度
  • 研究担当者:住吉正、保田謙太郎