九州地域での帰化アサガオ類4種の開花と結実特性

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要約

アメリカアサガオ、ホシアサガオ、マメアサガオおよびマルバルコウは短日性植物としての特徴を示す。7月上旬播種の場合には開花までの日数はアメリカアサガオで短く、ホシアサガオで長い。また、開花から結実までの日数や積算温度は4種間で異なる。

  • キーワード:開花、帰化アサガオ類、結実、暖地大豆畑
  • 担当:九州沖縄農研・九州水田輪作研究チーム
  • 代表連絡先:電話0942-52-3101
  • 区分:九州沖縄農業・水田作、共通基盤・雑草
  • 分類:研究・参考

背景・ねらい

九州地域では帰化アサガオ類が大豆畑をはじめ路傍,空き地などへ急速に侵入・拡散し、問題化してきている。防除を効率的に進めるためには対象種の生態的特性についての情報が必要である。特に、開花や結実特性に関する情報は、拡散源や翌年以降の発生源となる種子生産を防止するために重要であるが、これまでに十分には把握されていない。そこで、九州地域で侵入頻度の高いアメリカアサガオ、ホシアサガオ、マメアサガオおよびマルバルコウについて開花と結実特性を明らかにする。

成果の内容・特徴

  • 帰化アサガオ類4種は、播種日が遅くなるにつれて開花までの日数が短くなる傾向にあり、短日性植物としての特徴を示すが、日長反応性には種間や種内系統間で差異がある(図1)。
  • 7月上旬に播種(暖地大豆畑での発生を想定)した帰化アサガオ類の開花までの日数には種内変異があるが、アメリカアサガオで短く、ホシアサガオで長い。マメアサガオとマルバルコウは前2草種の中間で、マルバルコウの方がわずかに短い。また、2007年より2008年で開花までの日数が短く、年次変動も認められる(図2)。
  • 開花から結実までの平均日数と積算温度は、4種間で異なる。アメリカアサガオでは24.5日と659.0°Cで、もっとも多く、マルバルコウでは18.2日と490.5°Cで、もっとも少ない。ホシアサガオでは22.4日と532.3°C、マメアサガオでは21.0日と563.7°Cである(表1)。
  • 暖地大豆畑での種子生産の開始日を、7月5日に播種した各種のもっとも早い開花日と開花から結実までの最短日数の和から予想した場合には、アメリカアサガオでは8/24(8/3+21日)、ホシアサガオでは9/22(9/5+17日)、マメアサガオでは9/8(8/20+19日)、マルバルコウでは8/28(8/12+16日)となる。アメリカアサガオとマルバルコウでは8月下旬からの種子生産が予想されるので、早めの防除が必要である。

成果の活用面・留意点

  • 帰化アサガオ類の防除技術開発のための基礎的情報として活用する。
  • 本研究は九州沖縄農業研究センター筑後研究拠点(北緯33度12分)にて行った。

具体的データ

図1 播種日の違いが帰化アサガオ類4種の開花日までの日数に与える影響(2008年調査)

図2 7月5日に播種した場合の開花日まで日数

表1 7月5日(2007年)に播種した場合の開花から結実までの日数1)と積算温度2)

その他

  • 研究課題名:地域条件を活かした高生産性水田・畑輪作のキーテクノロジーの開発と現地実証に基づく輪作体系の確立
  • 課題ID:211-k-14
  • 予算区分:委託プロ(加工)、委託プロ(担い手)
  • 研究期間:2007~2008年度
  • 研究担当者:住吉正、保田謙太郎、小荒井晃