国内にはラプラタリンゴガイとスクミリンゴガイが生息する
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要約
国内に生息するリンゴガイは大部分がスクミリンゴガイであるが、一部地域にはラプラタリンゴガイも生息する。両種はマルチプレックスPCRにより簡易に識別できる。
- キーワード:スクミリンゴガイ、ラプラタリンゴガイ、ミトコンドリアDNA、マルチプレックスPCR
- 担当:九州沖縄農研・九州水田輪作研究チーム、難防除害虫研究チーム
- 代表連絡先:電話096-242-7732
- 区分:九州沖縄農業・病害虫、九州沖縄農業・水田作
- 分類:研究・参考
背景・ねらい
南米原産であるリンゴガイ科Pomacea属の貝類は1980年代に主として台湾を経由して日本に導入され、その後西日本を中心にイネの重要害貝となっている。Pomacea属の形態による分類は不明瞭な点が多かったが、近年、塩基配列情報に基づくPomacea属内の系統関係が明らかとなった。そこで、国内に生息するPomacea属の塩基配列情報を解析し、これまでスクミリンゴガイP. canaliculata 1種であるとされてきた国内のPomacea属の再検討を行う。さらに、複数の種の分布が確認された場合、それらの簡易識別法を開発する。
成果の内容・特徴
- 国内の13地域に生息するPomacea属は、既知のPomacea属特異的プライマーを用いてミトコンドリアDNACOI領域(約710bp)の塩基配列を分析すると、概ね3つのクレード(遺伝的集団)に分かれる(図1)。
- 既知のPomacea属塩基配列との比較から、3つのクレードのうち2つはスクミリンゴガイ、残りの1つはラプラタリンゴガイP. insularumであると判定される。
- スクミリンゴガイ、ラプラタリンゴガイは形態による識別は困難であるが(図2)、マルチプレックスPCRにより識別できる(図3)。
- 多くの地域にはスクミリンゴガイのみが生息し、ラプラタリンゴガイは静岡県、広島県、石垣島、西表島の4地域で生息が確認されている(表1)。
成果の活用面・留意点
- マルチプレックスPCRによる識別法の詳細は、発表論文を参照。
- 両種の生態及び被害については、今後、比較調査が必要である。
具体的データ




その他
- 研究課題名:地域条件を活かした高生産性水田・畑輪作のキーテクノロジーの開発と現地実証に基づく輪作体系の確立
- 課題ID:211-k.8
- 予算区分:基盤
- 研究期間:2007~2008年度
- 研究担当者:松倉啓一郎、奥田 充、久保田健嗣、和田 節
- 発表論文等:Matsukura K. et al. (2008) Appl. Entomol. Zool. 43: 535-540