SPFMV-S CP組換えサツマイモは複数のSPFMV系統の複合感染に抵抗性を示す
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要約
サツマイモ帯状粗皮病の野外罹病株には、複数のSPFMV系統が感染している。これらを接種源とした接ぎ木接種後もSPFMV-S CP遺伝子組換えサツマイモは抵抗性を示し、萌芽4代目においてもウイルスの増殖は抑制されている。
- キーワード:サツマイモ、遺伝子組換え、帯状粗皮病、ウイルス抵抗性、SPFMV
- 担当:九州沖縄農研・サツマイモ育種研究チーム
- 代表連絡先:電話096-242-7736
- 区分:九州沖縄農業・畑作
- 分類:研究・参考
背景・ねらい
サツマイモの帯状粗皮病は、サツマイモ斑紋モザイクウイルス強毒系統(SPFMV-S)によって引き起こされる重要病害の一つで、これまでに抵抗性の遺伝資源は見出されておらず、抵抗性育種は困難である。このため、SPFMV-S外被タンパク質(CP)遺伝子組換えサツマイモが開発され、SPFMV-Sに対して抵抗性を示す事が明らかにされている。しかし、この抵抗性は、強毒系統の純化ウイルスを強制接種した検定結果であり、SPFMVには複数の系統が報告されていることから、より野外環境に近い条件での抵抗性検定を行い、有効性の高い組換え体の開発を目指す必要がある。そこで、野外罹病株のウイルス生態の調査を行い、複数のSPFMV系統に対する組換え体のウイルス抵抗性を明らかにする。
成果の内容・特徴
- 野外罹病株では、強毒系統(S)だけでなく、複数のSPFMV系統の複合感染率が高い(表1)。
- SPFMV-S CP遺伝子組換え体はSPFMV系統が複合感染した罹病株を接種源とした接ぎ木接種により、病原系統だけでなくその他のSPFMV系統に対しても抵抗性を示す(表2)。
- 接ぎ木接種後、萌芽4代目においてもウイルスの増殖は抑制されており、安定した抵抗性を示す(図1)。
成果の活用面・留意点
- ウイルス抵抗性遺伝資源としての活用が期待される。
- ただし、遺伝子組換え体であるため、利用に先立ち、生物多様性影響評価を実施する必要がある。
具体的データ



その他
- 研究課題名:育種工学的手法による九州沖縄地域の甘しょにおける病害抵抗付与技術の開発
- 課題ID:311-e
- 予算区分:基盤
- 研究期間:2006~2008年度
- 研究担当者:岡田 吉弘、齋藤 彰
- 発表論文等:1)Okada and Saito (2008) Breed Sci. 58(3): 243-250