「日本晴」のいもち病抵抗性同質遺伝子系統の育成
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要約
水稲品種の「日本晴」のいもち病抵抗性同質遺伝子系統を育成した。本系統は、6つの異なるいもち病抵抗性遺伝子をもち、生育・収量、品質・食味特性などい
もち病抵抗性遺伝子型以外の諸特性は「日本晴」と同一である。混合栽培あるいは交替栽培することによって、いもち病の防除効果が期待でき、減農薬栽培に利
用できる。
- 担当:農業研究センター作物開発部稲育種研究室
- 連絡先:0298-38-8950
- 部会名:作物生産
- 専門:育種
- 対象:稲類
- 分類:研究
背景・ねらい
稲のいもち病の真性抵抗性の利用法として、異なる真性抵抗性をもつ同質遺伝子を育成して、これらを交替栽培したり、混合栽培して被害の軽減を図る方法がある。
ここでは、Pi-i、Pi-k、Pi-z、Pi-ta2、Pi-zt、Pi-bの6つの抵抗性遺伝子をそれぞれ1つずつもつ、広域適応性品種「日本晴」の同質遺伝子系統の育成を行う。
成果の内容・特徴
- 異なるいもち病抵抗性をもつ「日本晴」の同質遺伝子系統として「関東IL5号」(Pi-z)、「同IL7号」(Pi-i)、「同9号」(Pi-zt)、「同11号」(Pi-ta2)、「同12号」(Pi-k)、「同14号」(Pi-b)を選抜した。
- これらの育成系統は「日本晴」と出穂期・成熟期(中晩生)、桿長(短桿)、品質(中上)、粒形・粒大(中・中)、白葉枯病抵抗性(や強)、草姿等の諸形質がよく類似していた。
- また、粒形質、食味についても「日本晴」とほとんど差がなかった。更に、これらの系統のいもち病圃場抵抗性については、系統と「日本晴」を同時に侵す羅病菌に対して、圃場抵抗性が近似していた。
成果の活用面・留意点
- 「日本晴」の同質遺伝子系統として、混合あるいは交替栽培することによって、いもち病の防除効果が期待され、低農薬栽培用に利用できる。
- 適応地帯は関東以南の「日本晴」栽培地帯である。
- 耐倒伏性が「日本晴」並であるが、いもち病の圃場抵抗性は中なので多肥栽培は避ける。
- いもち病抵抗性の圃場抵抗性の比較品種として利用できる。
具体的データ




その他
- 研究課題名:温暖地東部向き良質品種の育成
- 予算区分:経常
- 研究期間:平成7年度(昭和50年~平成7年)