もち性小麦系統「もち谷系H1881」及び「もち谷系H1884」
※アーカイブの成果情報は、発表されてから年数が経っており、情報が古くなっております。
同一分野の研究については、なるべく新しい情報を検索ください。
要約
「もち谷系H1881」及び「もち谷系H1884」は、「西海168号」と低アミロース系 統「谷系A6099」とを交配し、トウモロコシ花粉を利用した半数体育種法により得られたもち性小麦系統である。
- 担当:農業研究センター作物開発部小麦育種研究室
- 連絡先:0298-38-8861
- 部会名:作物生産
- 専門:育種
- 対象:麦類
- 分類:研究
背景・ねらい
製めん適性でとくに重要視されるめんの粘弾性にアミロース含量が関係することが明かにされる中、低アミロース系統「関東107号」の突然変異処理により、さらにアミロース含量が低くなった系統「谷系A6099」を得ている。この系統とめん適性が優れる「西海168号」との交配組合せに半数体育種法を適用した結果、育成過程でもち性系統を得たものである。
成果の内容・特徴
- アミロース含量とめん適性の関係を解明するため、「関東107号」にEMSによる突然変異誘発処理を行い、アミロース含量が更に低くなった系統「谷系A6099」を選抜し、この系統とめん適性が優れる「西海168号」とを交配し、半数体育種法により、育成を進めた(図1)。
- 育成された固定系統についてアミロース含量を測定した結果、249系統中アミロース含量がゼロに近い、すなわち、もち性の5系統が得られた(図2)。
- これらの5系統はヨウ素ヨウ化カリウムによる反応でももち性であり、さらに、次世代でももち性は遺伝することが確認された。
- これらの5系統は形態的特性から2つのグループに分類されることから、それぞれのグループから「もち谷系H1881」及び「もち谷系H1884」を選抜した。
- 両系統とも白ふ、有芒であり、穂型は紡錘状である。
- 「もち谷系H1881」は「農林61号」より出穂期で3日、成熟期で5日早い早生、「もち谷系H1884」はほぼ「農林61号」並かやや早い早生であり、稈長はいずれも短稈であるが、「もち谷系H1881」の方がより短く、穂長は「もち谷系H1881」が「農林61号」と同程度、「もち谷系H1884」はやや短い(表1)。
成果の活用面・留意点
活用面:もち性小麦粉利用による新規需要の開発
留意点:赤かび病抵抗性等の特性検定については未調査であり、交配親として利用する場合は注意する必要がある。
具体的データ



その他
- 研究課題名:温暖地向け高製麺適性品種の育成
- 予算区分:高品質輪作
- 研究期間:平成7年度(平成4~7年)