小麦粉の粒度とタンパク質含量に及ぼす土壌と施肥の影響

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要約

製粉性と関係の深い小麦粉の粒度は、土壌の種類によって変動するが、この変動は施肥の改善により小さくなることを明らかにした。また、小麦粉の粒度は窒素追肥により大きくなるが、タンパク質と粒度の関係は追肥時期により変化することを明らかにした。

  • 担当:農業研究センター作物生理品質部麦栽培生理研究室
  • 連絡先:0298―38―8869
  • 部会名:作物生産
  • 専門:栽培
  • 対象:麦類
  • 分類:研究

背景・ねらい

製粉性の良い小麦品種は小麦粉の粒度が大きく、タンパク質含量が高いことがわかっている。しかし、土壌や施肥などの栽培条件による小麦粉の粒度の変化も大きいと考えられるため、適正なタンパク質含量を考慮しながら、小麦粉の高粒度化を目指した栽培技術を開発する。

成果の内容・特徴

  • 3種類の土壌で小麦農林61号とアサカゼコムギを栽培し、得られた子実をブラベンダーテストミルを用いて製粉した。得られた小麦粉をレーザ回折式粒度分布測定装置により測定した結果、粒度(粒径の中央値)は土壌によって大きく異なり、特に赤色土では小さかったが、窒素施肥を増やすことを中心とする施肥改善によって粒度の土壌間差異を小さくすることができた(図1)。また品種別にみると、小麦粉の粒度は、タンパク質含量と密接な正の相関関係にあることがわかった(図2)。
  • 窒素肥沃度の低い灰色低地土の水田圃場に小麦関東107号を栽培し、時期別に窒素の追肥(4kg/10a)を行って、得られた子実をブラベンダーテストミルを用いて製粉した。その結果、小麦粉の粒度は追肥により大きくなり(図3)、出穂期(4月28日)以前の追肥では、出穂期以降の追肥に比べ、同じタンパク質含量でも粒度が大きくなることを明らかにした(図4)。

成果の活用面・留意点

小麦粉が低タンパク質になりやすい圃場では、小麦粉のタンパク質含量を上げるため、窒素の追肥が有効であるが、出穂期以降の追肥はそれ以前の追肥に比べて粒度の増加が少なく、好ましくないことが示された。なお本成果は小麦粉のタンパク質含量が6.3~9.2%の範囲で得られたものである。

具体的データ

図1.土壌及び施肥が小麦粉の粒度に及ぼす影響

図2.土壌および施肥が小麦粉のタンパク質含量と粒度に及ぼす影響

図3.窒素の追肥時期が小麦粉の収量と粒度に及ぼす影響

図4.窒素の追肥時期が小麦粉のタンパク質含量と粒度に及ぼす影響

その他

  • 研究課題名:施肥及び土壌管理が小麦粉の粒度特性に及ぼす影響の解明
  • 予算区分:高品質輪作
  • 研究期間:平成7年度(平成6~8)