青年による農業のイメージ評価
※アーカイブの成果情報は、発表されてから年数が経っており、情報が古くなっております。
同一分野の研究については、なるべく新しい情報を検索ください。
要約
質問紙調査法を用いて,青年(農業学生と一般学生)を対象者とした農業・農村のイメージ評価調査を実施した.農業学生の方が農業・農村に対してよいイメー
ジをもっている.一般学生の4人に1人が今後農作業の体験を希望し,そのような人ほど農業・農村に対してよいイメージをもっていることがわかった.調査結
果は,農業・農村サイドから積極的な情報発信をしていく際の参考となる.
- 担当:農業研究センター農業計画部農村生活研究室
- 連絡先:0298―38―8419
- 部会名:経営
- 専門:経営
- 分類:研究
背景・ねらい
これからの農業や農村のあるべき姿を考えていく上で,農業者だけでなく農産物の消費者や都市生活者が農業や農村をどのように理解し何を求めているのかを的確に把握する必要がある.また,そのような把握に基づくことで,農業・農村さらには農産物に関するさまざまな情報を消費者や都市に向けて効果的に発信していくことができる.
農業や農村に対して人々がもつイメージについて,将来を担う20歳前後の青年を対象に質問紙調査法による調査を行い,農業学生と一般学生との農業・農村イメージを比較した.
成果の内容・特徴
- 農業・農村のイメージに関する調査を,農業者大学校等の学生(農業学生)と一般大学の学生(一般学生)を対象に実施し,職業としての農業を含む農作業体験の経験・希望および農業・農村のイメージ評価(農業のプラスイメージ10項目,マイナスイメージ13項目等)を両者で比較した.
- 農作業経験の有無と希望:一般学生の約4人に1人が「これまでに農作業の経験はないが今後農作業を経験したい」と回答している.農業学生の半数以上は「将来職業として農業をしたい」と回答している(図1).
- 農業・農村のイメージ評価:プラスのイメージでは「農業はやり方次第で儲かる職業である」「農業は人生を楽しむ手段でもある」等ほとんどの項目で農業学生の方がより肯定的に回答している(図2).マイナスイメージでは「農業は重労働である」などの項目で農業学生の方が否定的に回答する傾向がみられる(図3).プラスのイメージ評価では農業学生と一般学生との差異が大きく,マイナスイメージ評価ではその差異が小さい.
- 農作業経験とイメージ評価との関係:農業学生・一般学生ともに農作業経験の希望者は「農業は人生を楽しむ手段でもある」などの項目に肯定的に回答している(図4).また,将来農業を職業として希望している学生の場合「農業は所得が不安定である」に否定的な回答をする傾向にある(図5).農業学生は職業としての農業によいイメージをもっており,これから農作業を経験したいと考え,あるいは将来農業を職業として希望している学生は農業によいイメージをもっていることがわかる.
成果の活用面・留意点
調査結果から農業・農村と積極的に関わろうとする一般学生がかなりいることが指摘され,農業・農村サイドからの情報発信の有効性が認められた.また,このような調査結果は情報発信におけるターゲットの絞り込みや的確な情報を選択する際に活用できる.なお,情報発信をさらに支援していくためには,調査項目の修正・改良と一般住民等を対象としたイメージ評価の検討等が必要である.
具体的データ





その他
- 研究課題名:農業についての「快適性・非快適性」イメージの形成要因とその社会心理的評価法の解明
- 予算区分:総合的開発(軽労化農業)
- 研究期間:平成7年度(平成6~8年)