水稲新品種「どんとこい」の直播適性

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要約

良食味の水稲新品種「どんとこい」は、潤土表面散播、湛水表面散播で、出芽性・ 耐倒伏性・収量性が優れるので直播栽培適性が高い。

  • 担当:北陸農業試験場・作物開発部・稲育種研究室
  • 連絡先:0255-26-3239
  • 部会名:作物生産
  • 専門:育種
  • 対象:稲類
  • 分類:指導

背景・ねらい

水稲の省力化・低コスト化を目標とした直播栽培では、出芽性、耐倒伏性、収量性、さらに「売れる米」として良食味であることが求められている。そこで新しく育成した短強稈の良食味品種「どんとこい」について出芽・苗立ち、生育、収量、倒伏性等を調査して直播栽培適性を明確にする。

成果の内容・特徴

  • 新品種「どんとこい」は、潤土表面散播・湛水表面散播(カルパー無粉衣)のいずれにおいても播種量4~6kg/10aで出芽・苗立ちが確保できる(表1、表2)。
  • 「どんとこい」は、すでに各県で直播用として栽培されている強稈の「キヌヒカリ」が倒伏するような多肥条件・湛水表面散播においてもほとんど倒伏せず、耐倒伏性が強い(図1、図2)。
  • 「どんとこい」は、潤土表面散播・湛水表面散播のいずれでも「キヌヒカリ」より安定して多収である(表1、図2)。
  • 「どんとこい」の直播栽培では、移植栽培より穂数が容易に確保され、かつ倒伏に強く、播種期が5月中下旬になっても登熟歩合の低下が小さい(図3)こと等が安定多収の要因になっている。
  • 以上の結果から新品種「どんとこい」は、潤土表面散播・湛水表面散播のいずれでも「キヌヒカリ」より直播栽培適性が優れる。

成果の活用面・留意点

  • 適応地域は、北陸、関東以西の温暖地・暖地。
  • 種子もみは、ハトムネ状態に催芽して用いる。
  • 「どんとこい」は、播種期が遅くなった場合に玄米の品質低下の恐れがあるので、遅播きは、避ける。

具体的データ

表1.潤土表面散播栽培による試験成績

 

表2.潤土・湛水表面散播における「どんとこい」と「キヌヒカリ」の苗立 図1.施肥水準が及ぼす倒伏への影響

 

図2.直播様式が倒伏および収量に及ぼす影響

 

図3.播種期の違いが登熟歩合および収量に及ぼす影響

 

その他

  • 研究課題名:寒冷地中南部向き早中生水稲品種の育成
  • 予算区分:経常、総合的開発(次世代稲作)
  • 研究期間:平成7年度(平成6~7年)
  • 研究論文等:
    水稲新品種「どんとこい」の育成、北陸農試報37、1995.
    水稲の良食味・多収・耐倒伏性強新品種「北陸148号」の育成、育種学雑誌45(別2)、1995.