光ピンセット法を用いた核・細胞操作法の開発

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要約

効率的に細胞・核融合体を作成するため、レーザー光を用いた光ピンセット法を開発 した。それにより、任意の核、プロトプラストを選んで自由に接着、融合させること が出来る。

  • 担当:北陸農業試験場・作物開発部・育種法研究室
  • 連絡先:0255-26-3238
  • 部会名:作物生産
  • 専門:バイテク
  • 対象:稲類
  • 分類:研究

背景・ねらい

細胞融合にはエレクトロフュージョン法、PEG法等種々の手法が開発されているが、いずれの方法も特定の細胞どうしあるいは細胞と核を接着さらには融合させることはできなかった。そのため、細胞融合体を細胞融合処理の後で選抜する必要があり、効率的な融合体獲得の上で問題があった。そこで特定のプロトプラストどうしを選んで融合させる方法を開発し、細胞融合操作後の融合体選抜というプロセスを省くことにより、より厳密な細胞操作を可能にする。

成果の内容・特徴

  • プロトプロトプラストへの単離細胞核の接着については、1個から3個までの単離細胞核を順次接着することにより、目的とする細胞核を自由に取り扱うことが可能であることが示された(図1a,1b,1c)。
  • 試料として用いたものの中で最も大きなヒメジョオンの花粉についてもレーザー強度を変えることにより、20%グリセリン水溶液の中で自由に捕捉し、移動することが可能であることが示された(表1)。

成果の活用面・留意点

  • 取扱が非常に簡単であり、初心者でも自由にプロトプラストを捕捉、移動できるので、種々の方面での利用が期待される。
  • 赤外線レーザーを用いた光ピンセット法については既に特許がとられており、研究用途以外で特許の問題が絡んでくる可能性がある。
  • 本手法は水稲細胞および細胞核に問題なく適用できる。

具体的データ

図1.タバコプロトプロトプラストへの単離細胞核の接着

 

表1.20%グリセリン水溶液中でのヒメジョオン花粉の捕捉

 

その他

  • 研究課題名:生物工学的手法の利用による新育種法の開発
  • 予算区分:経常
  • 研究期間:平成7年(平成2~8年度)
  • 発表論文等:Fukui,K.,A.Nomiya,M.NishiguchiandM.Fujisita1995Applicationof
    laseropticstoplantcellandmolecularbiology.FocusonMicroscopy1995.
    Proceedingsofthe8thInternationalConferenceon3DImageProcessingin
    Microscopy&the7theInternationalConferenceonConfocalMicroscopy.
    ZoologicalStudiesVol.34(Suppl.1):35-37.
    福井希一1995.レーザー光を用いた植物細胞・染色体工学.オプトロニクス第14巻,
    第10No,166:158-161.