定幅散布機

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要約

多口パイプ噴頭に送風機から風を送ることにより、空気の力で圃場内に水稲種子や粒 状肥料、粒状農薬を一定した幅に散布することを目的とする水田管理用の定幅散布機 を開発した。本機の散布精度は高く、催芽籾を傷めることなく均一に散布できる。

  • 担当:北陸農業試験場・地域基盤研究部・機械施設研究室、企画連絡室・総合研究チーム
  • 連絡先:0255-26-3236
  • 部会名:営農・作業技術
  • 専門:機械
  • 対象:農業機械
  • 分類:普及

背景・ねらい

水稲生産の低コスト化を図るためには、圃場の大区画化や水稲直播に適応できる乗用機械の開発が求められている。これまで、肥料や農薬を高能率に散布する機械として、多口パイプ噴頭を用いて空気の力で一定幅に散布する乗用機械が開発されてきたが、催芽籾の散布では、芽を傷めるため水稲直播には適用できなかった。そこで、酸素発生剤(カルパー)を粉衣していない催芽籾の播種にも適用できる汎用性の高い定幅散布機を開発する。

成果の内容・特徴

  • 定幅散布機は、動力散布機の送風機と資材ホッパ、資材繰り出し部、T字型多口パイプ噴頭からなり、空気の力で資材を片側5m、両側10mの一定幅に散布するトラクタ装着型の機械である(図1)。
  • 本機は、横溝ロールをモータ駆動する繰り出し部を採用しているので、催芽籾、粒状肥料、粒状農薬をほぼ規定量どおりに安定して散布することができる(表1)。
  • 送風機による空気の流れと資材の繰り出しが別系統になっているので、繰り出された資材は、パイプの曲がり部分で衝撃を受けることがない。また、吐出口に装着されている抵抗板には緩衝材が付けられており衝突時の衝撃を緩和しているので、催芽籾に傷を付けることなく均一に散布できる(図1、図2、図3)。

成果の活用面・留意点

播種から肥料、農薬散布作業を1台の機械で行えるので、大区画水田での水稲直播栽培に幅広く適用できる。

具体的データ

図1.定幅散布機の外観と主要諸元

 

表1.大区画圃場における定幅散布機の資材繰り出し量の精度

 

図2.定幅散布機の概念図と催芽籾の繰り出し位置による正常発芽率の相違

 

図3.定幅散布機による催芽籾の散布分布

 

その他

  • 研究課題名:潤土直播のための高能率・高精度散播機械の開発・改良
  • 予算区分:実用化促進(地域総合)
  • 研究期間:平成7年度(平成6年~9年)
  • 発表論文等:
    溝型走行路による水稲の潤土散播直播技術(第6報)-搭載型汎用
    粉・粒剤散布機の試作-、農作業研究、28別1、1993.
    粉・粒剤散布装置における粉・粒剤供給機構、特許願、1994.