大豆用調湿乾燥機

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要約

循環型乾燥機に調湿装置を付加するとともに、排気の循環利用を特徴とした大豆用調湿 乾燥機を開発した。この乾燥機により、高水分大豆を裂皮粒等の被害粒を発生させずに 高い乾燥速度で乾燥できる。

  • 担当:北陸農業試験場・地域基盤研究部・機械施設研究室
  • 連絡先:0255-26-3236
  • 部会名:営農・作業技術
  • 専門:機械
  • 対象:農業機械
  • 分類:指導

背景・ねらい

北陸地域は大豆収穫時期の天候が安定しないため、高水分状態で大豆のコンバイン収穫が行われることが多く、高水分大豆を品質を低下させず速く乾燥する技術の確立が望まれている。そこで基礎試験でその効果が認められた調湿装置を循環型乾燥機の吸気口に装備した、大豆用調湿乾燥機を開発する。

成果の内容・特徴

  • 大豆用調湿乾燥機は、循環型乾燥機の吸気口に調湿装置を新たに装備しているため、湿度制御が可能である。また、排気熱と排気湿度を積極的に利用するため、排気口と吸気口をダクトでつないでいる。さらに、昇降機の回転速度を米麦用の約40%に設定し、穀粒循環中の裂傷の発生を抑えている(図1、表1)。
  • 乾燥の際には、乾燥速度を維持するとともに、消費電力を抑え乾燥機内の結露を防止するために、送風湿度を徐々に低下させる。また、裂傷粒の発生を防止するため、米麦のように大豆粒を連続循環させないで間欠的に循環させる(表2)。
  • 本乾燥機を用いて18%以上の高水分大豆を約180kg乾燥した結果、被害粒の発生はほとんどなく品質を低下させないで乾燥することができる。また、乾燥速度は0.42%/hで高能率である。さらに、加湿器の運転により消費電力は若干増加するが、排気-吸気循環により灯油消費量が約50%に減少し、運転コストは通常の循環型乾燥機と比較して増加しない(表2、図2)。

成果の活用面・留意点

  • 水分20%程度までのコンバイン収穫された大豆の乾燥に利用できる。
  • 乾燥槽内の結露防止のため、断熱に留意する。

具体的データ

図1.大豆用調湿乾燥機の外観 表1.大豆用調湿乾燥機の主要諸元

 

表2.調湿乾燥の乾燥方法と乾燥特性 図2.調湿乾燥の乾燥特性曲線と被害粒発生割合の推移

 

その他

  • 研究課題名:高水分大豆の高品位・高速度乾燥技術の開発
  • 予算区分:総合的開発(高品質輪作)
  • 研究期間:平成7年度(平成6年~7年)
  • 発表論文等:農業機械学会に発表予定
  • 湿度調節装置を付加した穀類乾燥機、特許願、1994.