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北陸地域の低湿重粘土水田では、水稲作付後の冬期間に畑作物を導入することにより 作土層上部の粗間隙量は大きく増加する。加えて、夏作大豆の導入により、粗間隙量 の増加は下部にまで及び、飽和透水係数が大きくなり、圃場の排水性が改善される。
北陸地域は秋に降雨が多く、また、冬期間の積雪や重粘土水田が広く分布するなど、畑作物の生育にとって排水条件が極端に悪い。そのため、暗渠などによる排水改善に加えて、作物や作付体系によって土壌構造を改善し、畑作物の安定生産を図る必要性がある。そこで、水稲収穫後の冬期間の作付の影響をみるため、細粒強グライ土(田川統)水田に大麦、イタリアンライグラス及び休閑の3試験区を設け、冬期間の作物の有無や作付体系の違いが土壌構造に及ぼす影響を検討し、適切な作付体系を確立する上での基礎資料を得る。
土壌の排水性は粗間隙量(pF1.5で排水される間隙量)により評価し、保水性は植物が容易に利用できる水分量としてpF1.5~3.0の水分量で評価した。
冬作期間が湿潤な気候となる地域における、重粘土水田の畑転換技術の基礎資料として活用できる。なお、畑転換2年目の圃場の成果は、畑転換初年目に記録的な干ばつに見舞われており、通常年より土壌は乾燥しており、利用に当たっては注意する必要がある。