作業試験用トラクタ

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要約

センサ、インターフェース及び記録装置を装着した作業試験用トラクタを開発した。 本機は、農作業中の運転操作や作業状況の自動測定が可能で、ポストプロセッシング により作業能率データを得ることができる。

  • 担当:北陸農業試験場・地域基盤研究部・機械施設研究室
  • 連絡先:0255-26-3236
  • 部会名:営農・作業技術
  • 専門:機械
  • 対象:農業機械
  • 分類:研究

背景・ねらい

農作業中のオペレータの労働負担を測定するためには、オペレータの身体的な負担を測定し、オペレータが実際に行っている運転操作との関連を詳細に解析することが重要である。そこで、オペレータに計測を意識させることなく運転操作を自動記録するトラクタを開発するとともに、運転操作のデータと走行速度等のデータを加工し、作業能率試験データを得るためのプログラムを開発する。

成果の内容・特徴

  • 開発した作業試験用トラクタ(35kw)による測定項目は、燃料消費量、走行速度、ハンドル回転角、前2輪回転数、後2輪回転数、下部リンク位置、主変速段数、副変速段数、エンジン回転数の9項目で、約0.3sec間隔で各データがインターフェースを通して32bitノート型コンピュータのRAMに記録される。最大記録時間はRAM容量8MBで約7時間である。また、センサやインターフェース、コンピュータの電源は、トラクタに装備されている12Vバッテリを使用する(表1)。
  • RAMに記録されたデータは、作業後FDに転送され、詳細な解析は室内のデスクトップコンピュータで行う。その際に、ハンドル回転角や走行速度等の基本データについてはディスプレーにグラフ化される(図1)。
  • さらに、作業能率試験データが必要な時には、記録されたデータから運転操作を自動判別し(図2)、総作業時間、実作業時間、旋回時間、トラクタ停止時間、行程数、平均作業速度、スリップ率をほぼ正確に計算することができる(表2)。

成果の活用面・留意点

  • トラクタ作業中のオペレータの動作解析や作業能率測定に利用できる。とくに、大区画圃場で作業能率を測定するときに自動計測は有効である。
  • 作業能率データは運転操作判別時のしきい値により実際と多少異なることがあるので、ハンドル回転角や走行速度データをグラフにより確認しておく必要がある。

具体的データ

表1.測定項目とセンサ

 

図1.ハンドル回転角と下部リンク位置の解析結果

 

図2.運転操作別のアルゴリズム 表2.作業能率の実測値と計算値の相違

 

その他

  • 研究課題名:単調作業における作業者意識レベルの低下防止策と単調作業回避方策の解明
  • 予算区分:総合的開発(軽労化農業)、経常
  • 研究期間:平成7年度(平成6年~8年)
  • 発表論文等:作業試験用トラクタの開発、農作業研究、第31巻別号1、1996.