包装青果物の鮮度予測
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要約
青果物の呼吸量、包装フィルムのガス透過性等のデータに基づいて、輸送、貯蔵に適した包装フィルムを呼吸モデルにより選択し、貯蔵期間中の色調変化予測を行うことが可能となった。
- 担当:食品総合研究所・流通保全部・食品包装研究室
- 代表連絡先:0298-38-8037
- 部会名:食品
- 専門:加工利用
- 対象:花菜類
- 分類:指導
背景
青果物は品種や産地、収穫時期によりその性質が異なるため一律に最適包装条件を決めることは難しい。
適正な包装設計を行い、鮮度変化を予測するためには、(1)包装フィルムのガス透過性を把握する、(2)種々の酵素濃度、二酸化炭素濃度条件下における呼吸量を測定する、(3)対象となる青果物に適した鮮度指標を決めておくことが必要である。
本研究ではブロッコリーの鮮度指標を花らい部の色調とした。
そこで、花らい部の色調を評価するための画像解析手法を確立し、呼吸量変化との関係から色調変化の予測式を構築した。
成果の内容・特徴
- 製袋した種々のフィルムでブロッコリーを包装して袋内ガス濃度変化を測定し、その間の呼吸量を 袋内ガス濃度と貯蔵期間の関数として表した。その結果、実測値と計算値で良い一致が見られた(図1)。次に、呼吸量の計算値を基に袋内ガス濃度変化を計算により求めた結果、実測値と良い一致が見られた(図2)。
- 包装した青果物の色調は、一定照明条件下でスチルビデオにより画像データの取り込みを行い(図3a)、ブロッコリー花らい表面のみを残して背景処理した後(図3b)、黄色の画素(図3c)と緑色の画素(図3d)を取り出してその画素数の変化から評価を行った。その結か、目視による色調評価値と良い相関が得られた。
- 袋内ブロッコリーの呼吸量と色調変化を表す画像データから袋内ブロッコリーの色調変化を計算に より求めた結果、実測値と良い相関が得られ(図4)、開発したモデルが適切かつ有用であることを示すことができた。
成果の活用面・留意点
ブロッコリーの最適包装条件及び貯蔵中の鮮度変化を予測することができた。
同じブロッコリーでも品種や産物により呼吸量が大きく異なる場合には呼吸モデル、色調変化モデルに若干の修正が必要となる。
具体的データ




その他
- 研究課題名:包装資材の評価技術及び鮮度予測式の開発
- 予算区分:一般別枠(収穫後生理)
- 研究期間:平成6年度(平成2~6年)
- 研究担当者:石川 豊、平田孝(現、京都大学農学部)、長谷川美典
- 発表論文等:MA (Modified Atmosphere)包装ブロッコリーの呼吸評価、日本包装学会誌、1巻2号、1992
フィルム包装ブロッコリーの呼吸モデル、日本包装学会誌、2巻1号、1993.