テンシプレッサーを用いた米飯物性測定法

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要約

アルミカップを用いて炊飯した米飯の物性をテンシプレッサーで測定する場合に、炊飯した米飯表面を均す処理は、粘りに関連した指標の精度向上に有効であった。粘りに関連する指標として、食味評価との相関、変動係数、分解能の点から、多重バイト測定の面積値を10バイト分積算したバランス度が最も優れていた。

  • 担当:食品総合研究所・分析評価部・品質情報解析研究室
  • 代表連絡先:0298-38-8057
  • 部会名:食品
  • 専門:食品品質
  • 対象:稲類
  • 分類:指導

背景

米飯物性の測定法については、これまでに多くの研究がなされているが、かたさよりも粘りに関する測定指標の方が測定精度が悪いことが多い。咀嚼運動を模倣したタイプのテクスチャ測定装置の一つであるテンシプレッサー(タケトモ電機製)で、アルミカップを用いて炊飯した米飯試料を多重バイト測定する場合に、粘りに関する測定指標の精度改善を主な目的として検討した。

成果の内容・特徴

  • 直径50mmのアルミカップ内の精米5gにイオン交換水を逆浸透膜に通した水7gを加えて2時間浸透した後、電気炊飯器(ナショナルSR-3150R)にアルミカップを入れて炊飯し、15分蒸らした米飯を測定試料とした。
  • 粘りに関する指標(-H1)の変動係数が小さい測定条件は、プランジャー径30mm(18,30mm)、バイトスピード0.5mm/s(0.2,0.5、1.0mm/s)、炊飯した試料表面を均す前処理有り(有、無)であった(図1、2)。括弧内は検討した水準を示す。
  • 粘りに関する指標(-H1)の変動係数が小さい条件を用いて1992、1993年産の各々14試料(新形質米、コシヒカリ、日本晴など)について多重バイト(11バイト)測定し、26指標について食味評価との相関、変動係数、分解能を検討した。 食味評価の「粘り」と相関が2年とも0.9以上の指標は、-H2/+H2、-A1/+Al、-A2/+A2、-A10/+A10、-SA/+SAの5つであった。ここで、H:波高値、A:面積値、+:圧縮方向、-:引っ張り方向、数字の添え字:何バイト目、S:10バイトの積算を示す。5つの指標の中で2年とも、14試料についての変動係数(4反復測定)の平均が15%未満のものは、-A1/+A1(最小3.0%、最大26.5%、平均11.8%、N=28)、-SA/+SA(最小3.4%、最大19.7%、平均10.9%、N=28)の2つであった。2指標の分解能について、各年産の14試料を用いた分散分析のF値より判断すると、2年間とも-SA/+SAの方が-A1/+A1よりF値が大きく(H4:75.6>43.8,H5:106.3>42.2)、分解能が高かった。

成果の活用面・留意点

炊飯した試料表面を均す前処理の時のクリアランスは3mmとした。多重バイト測定時は、前処理後の試料米飯の厚さに対する圧縮率を80%とした。ここでの結果は、クリアランスや圧縮率の値により変わることが考えられる点は注意を要する。

具体的データ

図1 測定方法の流れ図
図2 測定条件による精度の違い

その他

  • 研究課題名:テクスチャ測定による米質評価法の開発
  • 予算区分:経常
  • 研究期間:平成7年度(平成3~7年度)
  • 研究担当者:内藤成弘
  • 発表論文等:テンシプレッサーを用いた米飯物性測定法の検討、日本食品科学工学会第43回大会講演集、1996。