インターネットによる農産物情報公開システム

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要約

生産者側で個々の農産物にID番号とともに情報(収穫日、品種、生産者、産地等)を入力することにより、既存の流通システムを利用しながら、消費者が自分の購入した農産物の情報をホームページで閲覧することができる。

  • 担当:食品総合研究所・流通保全部・放射線利用研究室
  • 代表連絡先:0298-38-8047
  • 部会名:食品
  • 専門:食品
  • 対象:大豆
  • 分類:普及

背景

農産物は、本来、産地・栽培法等によって様々な品質特性が生み出され、名産・ブランド化が有効な商品のはずであるが、実際には複雑な流通経路により最もモノトーン化されて消費者に渡っているのが現状である。この問題を解決するために、圃場にある農産物にIDを付与することで、高度な生産管理や商品管理に必要な情報システムの構築、高付加価値化を行い、消費者まで確実に生産側の情報が伝達できる手法を開発する。今回は、山形県鶴岡市特産のだだちゃ豆を本システムにて実験販売し、こういった農産物が市場に出た時の消費者の反応を確かめるとともに、実現する上での問題点を明らかにすることを目的とした。

成果の内容・特徴

  • Windows NTサーバー上にSQLサーバーとIIS(Internet Information Server)を組み合わせて、ID番号をブラウザから入力することで、その個体データをデータベースから動的に抽出し、表示するシステムをASP(Active Server Pages)を用いて構築した。
  • 生産者が個体のID番号、収穫日、品種、生産者名を簡単に入力し、電話回線を通じてNTサーバーに転送できるクライアント-サーバー形式の転送プログラムを作成した。
  • 山形県鶴岡産のだだちゃ豆(枝豆の一種)を6農家から直接仕入れ、本システムで情報入力をするとともに、8月12日から9月5日まで、つくば市内のスーパー2店舗で実験販売した
  • 消費者が閲覧できる情報は、上記の転送プログラムで入力された個体別の情報に加えて、生産者の写真・メーセージ・肉声(wavファイルとReal Audioファイル)、栽培の特徴、圃場の写真・地図等を前もって作成しておき、検索された生産者情報に添付して表示される(図2)。これ以外に、だだちゃ豆の一般情報、一連の生育写真、調理法、本実験の概要を掲載し、双方向通信の活用例としてアンケートも実施した。
  • 多い時は、販売数の半分以上がアクセスしてきており、アンケートの結果も大方が好意的に評価され、販売量ともに上々であった。本システムは、http://vip2.nfri.affrc.go.jp/で模擬体験可能である。

成果の活用面・留意点

今後、FAXや携帯電話等でも類似の情報が取り出せるような機能の付加、対象農産物の多様化と消費者の望む情報コンテンツの開発により、より実用的なシステムとしての応用展開が期待される。

具体的データ

図1 システムフロー

その他

  • 研究課題名:ID付与による仮想農産物の構築に関する研究
  • 予算区分:総合研究(増殖情報ベース)
  • 研究期間:平成11年度(平成9~14年度)
  • 研究担当者:杉山純一
  • 発表論文等:1)杉山純一:“識別子付与による農産物の流通システム”、公開特許公報、特開平10-302105
                      2)杉山純一:“生産者と消費者とをつなぐ流通システムの新しい提案”、農業施設学会・30周年記念大会シンポジウム講演要旨、P.244~P.247(1999)