ばれいしょ新品種「十勝こがね(北海79号)」の調理特性

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要約

ばれいしょ「十勝こがね」は、いもの休眠期間が長く貯蔵性が良い。さらに、いもは目が浅く大粒で粒揃いが良く、剥皮後褐変や調理後黒変が少なく、煮物やフライさらに一次加工等多用途の調理に適する。

  • 担当:北海道農業試験場・畑作研究センター・ばれいしょ育種研究室
  • 代表連絡先:0155-62-9272
  • 部会名:食品
  • 専門:育種
  • 対象:いも類
  • 分類:研究

背景

北海道産ばれいしょは8月から4月まで全国で高いシェアを占めるが、貯蔵後の春先には品質が落ちるため、市場販売向けの調理用は府県産に置き換わる。一方、外食や惣菜産業で使用される業務向け需要は増加傾向にあるが、これには安価な材料の通年供給が重要であり、より貯蔵性の優れる北海道産ばれいしょが求められている。また、消費動向から洋食料理が可能な油調理適性が求められているが、既存の品種では難しい。そこでこれらの適性を重視して、貯蔵性および調理適性に優れた品種を育成する。

成果の内容・特徴

  • 「十勝こがね」はジャガイモシスト線虫抵抗性の「R392-3」を母、高品質良食味の「69095-17」を父とする交配組合せから選抜され、両親の優点を合わせ持つ調理用品種である。
  • 休眠期間が長く貯蔵性に優れ、貯蔵後の品質劣化が少ないので長期間の供給が可能である(表1、2)。
  • 水煮時に煮くずれが少なく、蒸し時にやや粉質を示して食味が良く、フライ品質が優れるなど、多様な調理に適する(表3)。
  • 剥皮後および加熱調理後の変色が少ないため、一次加工適性に優れる(表3)。
  • 目が浅く凹凸の少ない形状なので剥皮歩留りが高く、製品収率が高く廃棄物が少ない(図1)。

成果の活用面・留意点

  • 市場販売向けとして栽培が始められ、平成11年度に北海道の奨励品種に採用された。
  • 休眠期間が長いので栽培にあたっては、休眠期間の短縮もしくは打破の措置が必要なことに留意する。

具体的データ

表1 塊茎特性

その他

  • 研究課題名:ばれいしょ優良品種の育成、ばれいしょ高品質優良品種の育成
  • 予算区分:経常
  • 研究期間:平成11年度(昭和61~平成11年)
  • 研究担当者:森 元幸、高田明子、小林 晃、津田昌吾、梅村芳樹、佐藤正人、西部幸男、中尾 敬、吉田 勉、米田 勉、木村鉄也、三井 康、清水 啓
  • 発表論文等:1)平成9年度に種苗法による登録申請を行い、平成11年に「十勝こがね」として出願公表された。
                      2)新品種決定に関する参考成績書「ばれいしょ十勝こがね(北海79号)」、平成11年度推進会議資料(2000.3)