オリゴ糖分離精製用ナノフィルトレーションシステムの特性解明

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要約

キクイモ、ヤーコン、ダリア、チコリなどの植物資源に含まれるオリゴ糖の機能性を高めるために、ナノ濾過膜を用いて植物資源由来のオリゴ糖の分離精製システムを開発する。

  • 担当:食品総合研究所・食品工学部・反応分離工学研究室
  • 代表連絡先:0298-38-7997
  • 部会名:食品
  • 専門:加工利用
  • 対象:
  • 分類:普及

背景

各種オリゴ糖は、機能性食品・食品素材として注目されている。特にキクイモ、ヤーコン、ダリア、チコリなどのキク科植物にはフラクトオリゴ糖などが豊富に含まれることが報告されているが、その十分な有効利用はされていない。そこで、重合度の低い糖質や塩類等を除去してオリゴ糖の純度を上げ、植物由来のオリゴ糖の機能性を高めるために、逆浸透膜と限外ろ過膜との中間に位置するナノ濾過膜を用いた植物資源由来オリゴ糖の分離精製システムについて検討する。

成果の内容・特徴

  • ヤーコン根茎部を凍結乾燥後、粉末化し、熱水抽出処理を行う。抽出液を予備濾過して得られた上澄液を限外ろ過(ポリスルホン膜、分画分子量:20000)処理し、高分子成分の除去を行う。限外ろ過透過液をナノ濾過膜(G10、ポリアミド系複合、分画分子量2500)により処理する(図1)。
  • 限外濾過とナノ濾過との組み合わせ処理により、液量を25分の1まで減らすことができ、最終精製物の塩濃度上昇を約11倍に抑え、供給液糖濃度2.0%(オリゴ糖純度77%)から最終糖濃度24%(オリゴ糖純度98%)へと糖濃度を12倍まで高めることができる。
  • ナノ濾過膜による糖成分の阻止率は、単糖・二糖でそれぞれ15%・43%と低く、三糖以上は76%~99%の範囲で重合度が上がるにつれて増加する。各糖成分に対する膜の阻止性能は安定している。

成果の活用面・留意点

  • 小型ユニットは移動や設置が簡便であり、場所を選ばずに処理を行うことが可能である。
  • 今回得られた濃縮液では最終製品とするには多少塩濃度が高く、脱塩が必要であると思われる。

具体的データ

図1 ナノ濾過膜を用いたオリゴ糖精製・濃縮のフロー

その他

  • 研究課題名:オリゴ糖分離精製用ナノフィルトレーションシステムの特性解明
  • 予算区分:新需要創出
  • 研究期間:平成12年度(平成10~12年)
  • 研究担当者:中嶋光敏,鍋谷浩志
  • 発表論文等:1)鍋谷浩志,中嶋光敏:膜分離技術を用いたキクイモオリゴ糖精製・濃縮プロセス,食品工業,42(8),44-48 (1999.4.)
                      2)鎌田武雄,中嶋光敏:食品工業分野における膜利用,化学工学,64(8),19-21(2000.5.)
                      3)鎌田武雄,中嶋光敏,鍋谷浩志:膜分離技術による植物由来オリゴ糖の精製プロセスの開発,化学工学会第33回秋季大会,P.805 (2000.9.)