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コムギに由来するリボゾーム不活性化タンパク質RALyaseの相同遺伝子をイネから単離した。この遺伝子の翻訳産物はRALyase活性を持つタンパク質であった。
植物のリボゾームの不活性化機構のひとつとして植物自身が持つRibosome inactivating protein (RIP)の作用が知られている。RIPは植物の病害抵抗性機構に関与しているという報告がある。RIPはリボゾームRNA(rRNA)中の特定のループ構造中のアデニン塩基を切断しリボゾームを不活性化するが(図1)、最近、このRIPの作用点を認識してrRNAの骨格を切断するRNA apurinic site specific lyase (RALyase)(図1)がコムギより発見された。その酵素活性よりRIPと同様、リボゾーム不活性化因子であると考えられるが、その生物学的存在意義に関しては今のところ明らかでない。そこで我々はRALyaseの生物学的存在意義を明らかにするための解析を始めた。研究推進上、遺伝子情報が豊富で、遺伝子破壊株の利用、遺伝子組換え体の利用が行いやすいイネを材料とすることが有利と考えられるため、新たにイネよりRALyase遺伝子を単離、解析を行った。
RALyaseは植物の病害抵抗性機構に関与するタンパク質である可能性があり、新たな病害抵抗性植物の育種に繋げることができる。