マイクロMRIによるゆで麺中の水分分布変化の測定

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要約

ゆで調理中及びゆで上げ後の麺(うどん)中の水分分布の変化を、小麦粉糊化試料中の水の水素核(プロトン)のスピン-スピン緩和時間と水分含量の相関を利用して、マイクロMRI法により定量的に測定する方法が確立された。

  • 担当:食品総合研究所・分析科学部・状態分析研究室
  • 代表連絡先:状態分析研究室 0298-38-8033
  • キーワード:ゆで調理、麺、うどん、水分分布、小麦粉、スピン-スピン緩和時間、MRI
  • 分類:参考

背景

ゆで麺(うどん)中の水分分布は、テクスチャーに関係し、麺の品質を左右する重要な因子のひとつである。そこでマイクロ磁気共鳴イメージング(MRI)法を用いて、ゆで調理中及びゆで上げ後における麺内の水分分布変化を追跡する方法を確立し、麺のゆで工程の適正化及び品質向上に役立つ情報を収集することを目的に研究を行った。

成果の内容・特徴

  • 核磁気共鳴法で測定した小麦粉糊化試料中の水の水素核(プロトン)のスピン-スピン緩和時間(T2)と水分含量(水分g/乾物g)との間には正の相関が見られ、この相関を利用してT2から水分含量を推測できることが明らかになった(図1)。
  • 麺断面の磁気共鳴(MR)画像からは、ゆで工程中の麺内部への水分の浸透、及びゆで上げ後のゆでのびを示す水分の均一化の様子が観察された(図2)。
  • 麺断面のMR画像データから算出したプロトンのT2分布から、水分含量のプロファイルが得られ、その変化からゆで工程中及びゆで上げ後における麺内の水分分布変化を定量的にとらえることができた(図3)。

成果の活用面・留意点

ゆで麺断面の水分分布の変化をマイクロMRI法により測定する方法が確立され、ゆで工程の適正化や麺の品質評価に役立つ水分分布に関する情報を定量的に200ミクロンレベルの分解能で得ることができるようになった。

具体的データ

図1 小麦粉糊化試料中の水プロトンのT2と水分含量(水分g/乾物g)間の相関

その他

  • 研究課題名:MRIによる調理中、調理後の食品構造及び成分分布の変化の解析
  • 予算区分:経常
  • 研究期間:2001~2002年度 (2001年度)
  • 研究担当者:小島登貴子(埼玉県工業技術センター北部研究所)・堀金明美・吉田 充・永田忠博・永澤 明(埼玉大学)
  • 発表論文等:T. I. Kojima et al., Change in the status of water in Japanese noodles during and after boiling observed by NMR micro imaging, J. of Food Sci. 66(9) 1361-1365 (2001)