フランスパンの官能評価における標準的用語体系の確立
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要約
日本におけるフランスパンの標準的な官能評価用語体系を確立した。候補用語96語から、官能評価および多変量解析によって23語を選定し、定義と評価の方法を設定した。
- キーワード:官能評価、フランスパン、評価用語、テクスチャー、味、香り
- 担当:食総研・食品機能研究領域・食品物性ユニット
- 代表連絡先:電話029-838-8031
- 区分:食品試験研究
- 分類:研究・参考
背景・ねらい
近年の人気の高まりを反映して、フランスパンは多くのベーカリーショップで市販されている。しかし、フランスパンの官能評価法は確立されておらず、「黄金色の皮」「引きが強い」等の曖昧な表現で品質が評価されることが多く、商品開発、品質管理、販売の場での混乱の一因となっている。そこで、日本におけるフランスパンの官能評価における標準的な用語体系を確立する。
成果の内容・特徴
- 東京都内で市販される多数のフランスパンを試料とし、フランスパンの専門家の官能評価によって、評価用語の候補リストを作成した。リストは96語で構成されており、外観35語、香り37語、味4語、テクスチャー20語である。
- 候補用語96語から、市販フランスパンを試料とした官能評価と多変量解析によって、フランスパンのプロファイリングに有効な評価用語23語を抽出することができた。外観11語、香り5語、味1語、テクスチャー6語である(表)。あわせて、各用語の定義と評価の方法を表のとおりとする。
- 様々な条件で調製した23種のフランスパンの官能評価の結果、表の23語が評価用語として妥当と考えられる。
- 主成分分析の結果、23語のうち16語はフランスパンの主要な官能特性に関わることが示唆される(表中の*)。
成果の活用面・留意点
- 小麦粉、水、イースト、塩のみから調製されるフランスパンを対象とする。
- 材料配合、ミキシング、発酵、焼成等の調製条件とフランスパンの品質との関係を調べる際に有効である。また、マーケティング、営業、販売等にも活用できる。
- 表の23語は総合的なフランスパンのプロファイリングに有効であるが、例えば、香りに特化した評価の場合は、96語から評価用語を再選定することが可能である。すなわち、96語はフランスパン用語のデータベースとして用いることができる。
- 主要な官能特性に関わる16語は、フランスパンの評価員の訓練等に有効である。
具体的データ

その他
- 研究課題名:高性能機器及び生体情報等を活用した食品評価技術の開発
- 中課題整理番号:313f
- 予算区分:基盤、科研費、生研センター
- 研究期間:2004~2009年度
- 研究担当者:早川文代、鵜飼奈緒子(日仏商事)、西田純司(日仏商事)、風見由香利、神山かおる
- 発表論文等:Hayakawa, et al. (2010) J. Sensory Studies, 25(1), 76-93