炊飯米の良質性に関する多面的品質評価方法

 要約

  炊飯米の良質性を評価するための炊飯米に含まれる呈味成分評価法、弾力性試験法および外観試験法である。従来の品質データに加えて、炊飯米の呈味性、物理特性および外観品質に関する客観的評価・比較のための情報を提供可能である。

  • キーワード:炊飯米、品質、呈味、外観、テクスチャー
  • 担当:食総研・食品素材科学研究領域・穀類利用ユニット、山形農総研セ
  • 代表連絡先:電話029-838-8131
  • 区分:食品
  • 分類:技術・参考

背景・ねらい

水稲の炊飯米の品質評価においては、食味官能試験による硬さ、粘り、外観、うま味、総合などの評価項目についての物理化学手法による客観的評価が重要となる。近年、育成された良食味品種に関しては、従来から提案されている品質評価方法に加えて、炊飯米の味や白さ、弾力性といった要素をより高精度に推定可能な客観的評価方法が求められており、本研究では、炊飯米品質に関する新しい評価方法の開発を目的とする。

成果の内容・特徴

  • 評価は炊飯米を試料として、以下の測定から得られる結果を総合的に判断する(図1)。
    物性測定は、物性試験機(T社製、Tensipresser MyBoy System)を用いて、炊飯米1粒を試料台に載せ、試料厚を計測後、試料厚に対する多重圧縮試験法により測定する。
    外観評価は、炊飯食味計(S社製STA-1A)を用いて、炊飯米8gを測定用治具に充填し、成型器により上下から一定の圧力をかけて円柱状に成型し、外観を評価する。
    白度測定は、分光測色計(K社製CM-600d)を用いて、炊飯米8gを成型器にて円柱状に成型し、正反射光を除去するSCE方式で測定を行う。測定値から算出された白度(White Index:ASTM E313-73)を炊飯米の白度として評価する。
    呈味成分評価は、炊飯米10gと純水20mlをトールビーカーに入れ、3分間、120往復/分の条件で振とう後、固液を遠心分離およびフィルター(0.45μm)ろ過した上澄を抽出液として、呈味性を有するアミノ酸および糖成分をHPLC法により測定する。
  • 本評価から、炊飯米の粒感に関わる弾力性、うま味、炊飯米の光沢および白度についての特性を判断できる。
  • 「コシヒカリ」は一般粳米の評価平均値(レーダーチャートにおける1)に対して、炊飯米の外観光沢が高く、呈味成分が高い傾向が見られた。他方、「つや姫」は炊飯米の粒の弾力性があり、外観光沢と白度が高く、呈味成分の含量が高い特長がある(図2)。

成果の活用面・留意点

  • 評価にあたり、金属製カップによる1カップにつき精米20gでの少量炊飯法での評価が可能である。
  • 炊飯米の物性評価では、従来の低圧縮-高圧縮試験法と組み合わせることで、炊飯米の硬さや粘り具合および弾力性の詳細な解析が可能となる。

具体的データ

図1 炊飯米品質の測定の概要

図2 炊飯米品質の比較

その他 

  • 研究課題名:新形質米の特性解明および利用技術の開発
  • 中課題整理番号:313d
  • 予算区分:交付金  
  • 研究期間:2007~2010年度
  • 研究担当者:鈴木啓太郎、後藤元(山形農総研セ)、森谷真紀子(山形農総研セ)、 浅野目謙之(山形農総研セ)